座布団が行司にクリーンヒット

九州産馬、佐賀競馬、地方競馬、アビスパ福岡を応援しています

マークオブディスティンクションとシンウルフ

以前から書こう書こうと思ってなかなか書けずにいました。
九州産を語る上では切り離せないこの二頭。しかし、私は当時を詳しくは知りません。
競馬に目覚め、九州産馬を応援するようになったのもここ数年のこと。
頑張って勉強していますがなかなか追いつきません。今、私の知ってる限り精一杯書いてみようと思います。

シンウルフ

ラッキーソブリンの初年度産駒として、現役時代は33戦8勝。主な勝ち鞍は第17回スプリンターズS
ラッキーソブリンニジンスキーの直仔。大物は出せなかったが、長年安定して活躍する産駒を輩出した。
ラッキーソブリン鹿毛だったが、シンウルフは母スノーショットの父フォルティノから続く芦毛を受け継ぎ、
その産駒にも多く芦毛が見受けられた。当時九州産限定戦では芦毛の馬が多数を占めて
なかなか壮観であったろう。実際にこの目で見ることが出来なかったのは残念だ。
話を元に戻すが、地方競馬を経て現役を引退したシンウルフは九州で種牡馬入り。
初年度からなにわS・比叡Sを勝ったカノヤミノリを輩出。その後も九州産馬の父として
一般馬にも負けない活躍馬をデビューさせ続け、その後は九州産限定レースでは
シンウルフの産駒が多数出走し上位を独占するほどまでになった。他地区からの種付けも増え、
そろそろ北海道に栄転かと噂された1992年(93年?)、急にあの世へと旅立っていってしまった。
残した産駒は全部で五世代。ひまわり賞、たんぽぽ賞だけでなく霧島賞でも上位を独占。
現在は九州産馬の母父としてその名を残してくれている。九州産中興の立役者と言えるでしょう。

マークオブディスティンクション

その長ったらしいインパクトのある名前で多くの競馬ファンの記憶に今も残っている事だろう。
現役時代は英国と米国で走り、G1のクイーンエリザベス2世Sを制覇。G2も2勝。ゴドルフィンアラビアンの子孫で
米国の歴史的名馬マンノウォーの直系という非常に貴重な血統を買われて日本で種牡馬入り。
当初は静内種馬場で繋養されていたが、ホッカイルソーの本格的な活躍の前に九州種馬場に移ってきた。
当時九州の馬産はシンウルフがいなくなり、依然として低調。九州種馬場にはそれまで
少し期待されていたクリスタルパレスなどが在籍していたが、あまり人気も出ず去って行った。
そんな中でマークオブディスティンクションはかなり期待されていた。
中には九州入りを「左遷」と言う人もいましたが、九州の生産者にとってはまさに救世主のような存在でした。
初年度から九州産の中では比較的良質な繁殖牝馬が集まり、まずはユメノセテコウユー、カノヤツヨシなどを輩出。
その後もコンスタントに産駒は活躍し、九州産馬の黄金期とも言える大フィーバーを巻き起こした。
その実績は九州産馬としては度を抜いている。前出のユメノセテコウユーに始まり、
2年目はコウエイロマン・マルシゲファイター・マークキングオーなどの面々、
3年目もアイティースワロー・カシノエトワール・マークオーなど一般馬相手に立ち向かえるような馬を
次々とデビューさせて行った。そんな大進撃もつかの間、1996年に突然の死を迎える。
「鹿児島のサンデーサイレンス」と呼ぶ人がいたがまさにその通りと言える程の馬の突然の死。
ただ九州の馬産地への衝撃だけでなく、この貴重な血統を持つ種牡馬の死は日本全体に衝撃を与えました。
現在はウォーニング、ホッカイルソー、そしてユメノセテコウユー種牡馬となっていますが
果たしてこの中から次、また次の世代に父系がバトンタッチされるか、注目です。頑張れよサニングデール

九州の馬産・種牡馬

その後も現在に至るまでシンウルフとマークに比肩するほどの種牡馬はまだ九州には誕生していません。
ダンツシアトルがそうなりそうな気配でしたが、九州種馬場から去っていってしまいましたからね。
去年から戻ってきて楽しみなんですが、以前とは九州の馬産も様変わりしてしまいました。
今後、この2頭程の種牡馬が九州に現れるかどうかは難しくなってしまったように思えます。
何故なら現在は「持込み馬」が主流の時代。多くの牝馬が北海道で種付けし、九州に戻ってきて出産します。
今後、この流れがどうなって行くかはやはり九州の種牡馬たちにかかっていると思うのです。
九州の種牡馬界は昔から、「種牡馬終焉の地」という嫌なレッテルが付きまとっていました。
日本が「種牡馬の墓場」と呼ばれていた時代から、その更に最終地としての存在が九州でした。
実際、北海道で活躍できなかった種牡馬たちが最後の希望を抱いて九州にやって来ました。
中には過去に素晴らしい栄光を手にしていた馬達や、鳴り物入りで日本にやって来た海外の種牡馬もいました。
そんな中にも九州で活躍し、北海道などに栄転して行った種牡馬もいくつかいました。
しかしその多くは九州の気候に慣れなかったり、独特の風土病にやられて九州が終焉の地となったのです。
そんな九州ですが、だからこそ、主流から外れた零細血統や貴重な血統の種牡馬が集まるという利点もあったのです。
現在も(零細血統と言うのは失礼ですが)メガスターダムゴールドプルーフなどが来てくれています。
何と言うか、夢があるじゃないですか。これから地べた(こう表現するのは我ながら辛いが)から這い上がる
シンデレラストーリーが面白そうで楽しみで、ワクワクするじゃないですか。実際は遠い道のりでしょうけど。
そして「九州産が一般馬に勝つ」。それだけで、判官贔屓じゃないですけど、興奮してしまうじゃないですか。
だから私は九州産馬を応援せずにはいられないんです。私の地元というのも相まって。