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九州産限定戦の存在価値(私見)

ひまわり賞を前に、ちょっと書いておこうと思います。九州産のレースについて。
その存在意義を否定していらっしゃる方がことは知っています。
例えば某競馬雑誌のK氏などがテイエムチュラサンについてコラムで書いていましたが、
現在の制度を改革すべきだとか何とか。具体的には「ひまわり賞は500万下でいい」らしいですが。
九州産馬を応援する人間として、肯定の立場でちょっと書いておこうと思います。

意義

何よりもまず「九州の馬産の振興」の為であることは間違いありません。
様々な面でハンデがある九州での競走馬の生産を活性化させる為に存在する限定戦です。
「レベルが低い」ことは、限定戦ならば当然のことです。レベルが低いからこそ存在するレースなわけで。
「レベルが低いから廃止しろ」と言われても……。我慢していただくしかなさそうです。

他地区はどうなっているのか?

日本の馬産のメインはいわずもがな北海道ですが、それ以外にも日本各地に生産地が点在しています。
一般的に言われている生産地は東北産(主に青森県と、宮城県も含む)、千葉産、九州産、その他、と言った感じ。
かつては小岩井産、那須産や高知産も有名でしたが、今はほとんど生産を行っていません。
千葉産も今や生産を行っているのは20軒以下と聞きます。実質的には東北産と九州産が残っていると言えます。
「なぜ九州産だけに限定戦があるのか」と言う声も聞かれます。実はあるんですよ東北産限定戦も。
銀河賞とか。岩手競馬で行われています。かつては高知競馬場でも高知産限定レースがありました。
そもそも東北産に関しては九州とは規模が違うんですよ。九州産は年間に90頭未満。
東北産馬は年間230頭ほど生産されています。九州の倍以上ですね。そして何より質が違う。
重賞馬、G1馬も多く輩出していますし、そのレベルは北海道に比べても遜色ありません。
そして地理的要因もあります。北海道とは海を隔ててはいますがすぐ近く。交流も盛んでしょう。
気候、馬の移動、情報、ハンデは少ない。繁殖牝馬を北海道に種付けに行くこともしょっちゅうでしょう。
最近では九州産でも持ち込み馬が多くなってきましたが、一昔前まではほとんど、いや皆無でしたからね。
九州はそういった馬産ネットワークから遠く離れて、ぽっかり浮かんだ孤島のような存在だったんです。
そういった面でやはり充実している東北産ではなく、昔からハンデの大きかった九州産だけが
JRAで限定戦を行うのは当然と言うか仕方の無いことだと思うんですけどね。

九州産のひと昔

テイエムチュラサンアイビスSDの勝利が九州産にとって24年ぶりの古馬重賞制覇だったと言う事を前に書きました。
それまでは、そうしょっちゅうでは無いにしろそれなりの活躍馬が出ていたのです。ニルキングとか。
それがなぜ、ここ20年程で一気に低迷してしまったのか。それはたぶん、
日本の競馬全体のレベルが上がっていったからでしょうね。つまり九州の馬産は置いてけぼりを食らったのです。
九州が昔から強いアラブの馬を生産していたことはご存知でしょうか。「九州のアラブは強い」というのは
その当時は常識だったらしいですよ。サラブレッドよりもアラブに力を入れていた所も多かったみたいですね。
しかし、日本中央競馬会がアラブ競走の廃止を打ち出してからは、
そのアラブ自体が衰退の一途を辿っているのは皆さんもご存知の通り。
サラブレッドとアラブは別物です。しかし生産地全体で見るとその影響はかなり大きいものだったのでは
ないだろうかと思うんです。お互いに相乗効果を持っていたサラブレッドとアラブが、
いやむしろアラブにおんぶで抱っこだったサラブレッドが、アラブ衰退とともに
時代に適応できなくなって行ったと言うか……。宮城なんかは「アラブのメッカ」と言われていましたが、
今はアラブもサラブレッドもどちらも生産はごくわずかになってしまっています。
その辺では北海道や東北は上手く切り替えが出来た。アラブを「切り離す」ことが出来た。
(あくまで私の推測ですがけど)

批判の声

要するに、こんなレースは「無くてもいい」「OPじゃなくて500万下でいい」「こんなに賞金を割く必要は無い」
ということなんでしょう。そう仰る方々は、表面だけを見ないで奥底にあるレースの意義についてもう少し
考えていただけないだろうかと思う。生産者にとっては、賞金を低くするなんてとんでもないと思うでしょう。
前出のK氏の意見は簡潔に言えば、ひまわり賞を優勝馬はその後活躍してないんだからOPじゃなくていい
という風なことなんです。「ひまわり賞勝っただけで桜花賞に出走できるのはおかしい」
「優遇は懈怠につながる」「九州産に出走枠を、といいう考えなら九州の馬産地に失礼」
とのこと。
いや全然失礼でもなんでもないと思いです。生産者は確かに夢やロマンもあるでしょうけど、
その前にまず、どれだけ賞金を稼げるかどうかでしょ。「とにかく出走させたい、はおかしい」とのことだが、
別に何も問題ないと思う。大レースに出走させたいのはどこの生産者だってそうだし、
うまく入賞でもすればそれだけお金が入ってくるわけで。勝つか負けるかだけが競馬じゃないんですよ。
「それでは面白いレースじゃなくなる」と言う声はもっともです。それを言うなら今のJRA全体にも言えること。
春の天皇賞が「古馬最強決定戦」でも、菊花賞が「3歳牡馬最強決定戦」でも無くなりつつあるという声。
他にも探せばいくらでもあるでしょう。しかしそれらは「ひまわり賞」とはまた別の話。
なぜなら「ひまわり賞」は限定戦だからです。おこがましいですが、特別なものだから。
ひまわり賞だけを名指しで批判するのがおかしいんですよ。今の早い時期の2歳OPの勝ち馬が
その後活躍しているかと言うと、例外はあるでしょうがほとんど居ないと思いますよ。
批判するのがひまわり賞だけじゃなくてこの時期の2歳OP全体であったならば話はわかりますが。
ひまわり賞=九州産=レベルが低いのに賞金が高い。だから名指しするってのはただの弱い者いじめじゃないですか。

不満

ただ、私も現在の制度・システムに何ら不服が無いというわけではありません。
以前から言っているように、持込み馬独占・テイエム牧場産独占の限定戦はどうかと思っていますし。
別に竹園さんに個人的恨みがあるんじゃなくて。むしろ九州産活性化で感謝してるくらいですから。
ただ現在の制度では、九州の馬産を本当に振興し、援助できているかといえば不満が残ります。
例えばですが、ひまわり賞を500万下にしても良いので、代わりに九州産限定のクラシック戦を新設するとか。
現在、九州産馬の3歳夏の目標が古馬と対決しなければならない霧島賞だけ、というのがちょっと…。
霧島賞が1600万下までしか出走できない現状も不満。本当に九州産馬最強決定戦にしたいのなら
OPの馬も出走できるようにするべき。たんぽぽ賞(1月・3歳500万下)の時期も条件もどうかと思うし。
言い出せばキリが無いですが。

終わりに

私は九州産ファンの立場で書いたので、少し考え方が偏っているとは思います。
客観的に見れば、批判がもっともだったり、もっと良い考えがあったかもしれません。
ただやはりファンとしては「廃止になればいい」などと書かれてあるのを見るのはツラい。
感情だけで書きなぐるのだけは控えていただけたらありがたいと思う。