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青森の牧場に行ってきました

福岡から静岡県は三島、東京、新潟、そして青森と、4日間をかけて北上した話までは書きました。
ここからは青森以降の話。青森では牧場見学をするために1日を費やしました。
一番の目的は、九州が産んだ現在唯一のサラブレッド種牡馬ユメノセテコウユーに会うことでした。
……結論としては会えませんでした。牧場主、長谷地さんとどうしても連絡が取れなかったからです。
もし次に行く機会があれば…今度は雪の無い夏頃に是非会いに行きたいと思います。

JBBA七戸種馬場

しかしこんなことでへこたれる私ではありません、青森を十分に楽しむことにしました。
まずは七戸種馬場に向かいました。八戸の『ふるさと案内所』とは車で1時間ほど離れた場所ですので注意。
九州種馬場は同じ敷地内に『競走馬のふるさと案内所』と『九州種馬場』が一緒にあるから便利なんだよな。
九州でもそうですが、青森でも当然レンタカーが必須です。北海道もそうですけど、牧場ってどこも田舎です。
七戸種馬場にはシャーディーキンググローリアス、そして今年から移ってきたサニングデールがいました。
(写真は左からこの↑順番。え? どれもみんな同じ馬に見える?笑)

シャーディーは以前九州にもいました。出世(?)して北上、今はこちらにいます。
なんでも非常にキツい性格の馬らしくて、「危険!」とかかれた張り紙が恐怖を誘いました(笑)。
遠くから見てるだけだとそうでもないんだけどな……でも近づくといきなり噛み付くらしい。くわばらくわばら。
キンググローリアスもまぁ…なんだかんだで噛んでくるけど。
そしてサニングデールですよ。現役時代も好きだったけど、今もあまり変わらない感じでした。
っていうか体が種牡馬らしくないなぁ。あまり太ってないように見えたけど、大丈夫なのか?
などと考えつつ余所見してたら……やられました、噛まれちゃいました。
今でも私の右の二の腕には噛まれた後がくっきり残っています。ま、いい記念になったかな。
ユメノセテコウユーにとっては、似たような血統だからかぶっちゃうんだよな…。

ユウミロクに会いに行く

どうしても諦めがつかず、住所を頼りに長谷地さんの牧場を探してみる。
…馬がいるそれらしき牧場を見つける。が、誰もいない。やはり諦めるしかなさそうだ。
しかーし、青森に来た理由はそれだけではありません。あの名牝・ユウミロクを見たかったのです。
ユウミロクユウセンショウ、ゴーカイ、ユウフヨウホウなどの重賞・G1勝ち馬を輩出しまくった、
個人的には日本一の繁殖牝馬だと思っている馬です。だって種付けした種牡馬がいずれも
お世辞にも高い種付け料ではありませんからね。それであれだけの活躍馬を出すんですから凄いもんです。
そのユウミロクがなぜかユメノセテコウユーと種付けしたと聞いた時の衝撃と歓喜。そもそもなぜ青森に?
そんな疑問を持ちつつ、塚尾牧場さんに連絡を取り見学させていただくことになりました。


塚尾さんの牧場はすぐ近くに大きな牧場があって、そこと間違いそうになりました。正直小さな牧場です。
九州と同じくらいかな。だからいっそう親近感が沸いてしまったわけですが(笑)
塚尾さんはわざわざユウミロクを外に出してくださいました。

…いやいやいや、別の馬なんじゃないんですか? だってユウミロクは今年で23歳ですよ?
なんだこの黒光りする馬体は! しかも痩せ細っているわけでもなく、すごい元気そう。ぴちぴち(死語)。
そのことを塚尾さんに言うと「そうだろそうだろ」と嬉しそうに話してくださいました。
「最初来た時は『別の馬が来たんじゃねぇか?』と思った」と。いや、普通はそう思いますよこりゃ。
その立派な体に驚きつつ、体を触りまくってしまいました。すごく大人しい。
馬好きにとってはまさに至福の瞬間ですよねぇ……かーわいいのなんのって。
その後、塚尾さんにお茶まで出していただいて色々なお話を聞かせていただきました。
こちらの牧場に来たのは、かなり偶然というか、たまたまだったらしいですよ。
さらにユメノセテコウユーに種付けしたのも、ある意味で「たまたま」。


20歳を超えている年齢、さすがに種付けしてちゃんと付くかどうかも分からない。
繁殖牝馬というのは年齢を積み重ねると受胎率が低くなりますからね、それは種馬にとっても同じことですが。
ですから念の為というか、最初は「試し」に知り合いの牧場にいた、種付け料がほぼ無料に近い
ユメノセテコウユーに白羽の矢が立ったらしいのです。そして種付けしてみたら………
「一発で付いてやがんの!(塚尾さん)」(笑)
青森に来たのも偶然、ユメノセテコウユーを種付けしたのもほとんど偶然。
まさに奇跡に近い配合だったわけです。なんか……一期一会というか、縁というか。神様からの贈り物というか。
産まれた子供は小さかったそうです。他の仔もその傾向だそう。セールなどでは売れにくい馬なんでしょうが、
逆に言えば「母馬に負担がかからないから良い」と塚尾さんはおっしゃっていました。
そして「体が小さくても、セールで売れなくても走る馬は出てくる。だから馬は分からない」と。
そんな塚尾さんがすごく楽しみにしているのが、今年産まれたメジロベイリーユウミロク産駒。
(訂正:オースミタイクーン産駒でした。メジロベイリーはこの年に種付けをして不受胎だったようです。)
こちらは小さいながらも足腰がしっかりしていて、かなり期待されているみたいでした。
というか、ユメの仔の方はあまり期待してないみたいでしたけど(笑)、
まぁそんな馬が走ってしまうかもしれないのが「馬は分からない」ということでしょうから、
期待せずに、いや少しだけ期待しつつ来年デビューするのを楽しみに待っていようと思います。
(ちなみに既に馬主は決まっていて、今は育成に出しているとのことでした。)


他にも様々なお話をして、つい何時間も長居してしまって申し訳なかったです。
ユウミロクが来てからは見学の問い合わせも増えたみたいです。翌日にも来る予定だとか。
また、ユウミロクともなると各所の反応も違うみたいです。「青森にあのユウミロクが!?」って。
ユウミロクは仮に仔が産まれなくなって繁殖を引退しても、最期まで世話をしてあげるつもりとのことでした。
とても優しい塚尾さんの元で過ごすユウミロクがとても幸せそうに見えました。