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九州セールを見に行ってきました

結果など。
九州1歳市場、イーグルカフェ産駒が最高価格 | 競馬ニュース - netkeiba.com
九州トレーニングセール&1歳市場について〜馬市ドットコム
http://www.jbba.jp/seri/2008/0512kyushuTS.html
http://www.jbba.jp/seri/2008/0512kyushu1sai.html
結果の数字だけを見れば確かに「低調」と言わなければならないのかもしれませんが、
実際にこの目で見てきて感じてきたことをいくつか書いておこうかと思います。
セリの様子など。
写真で見る【九州セール2008(1歳)】~高額上位馬4頭写真など - 【サラブレッドセール(せり市場)=馬市】&【種牡馬】の最新情報 by馬市.com
写真で見る【九州セール2008(2歳トレーニング)】~高額上位馬写真など - 【サラブレッドセール(せり市場)=馬市】&【種牡馬】の最新情報 by馬市.com
パワスポ: 2008九州市場~あっ、春一番のせり!

(左:宮崎育成牧場出身のタムロチェリーのG1制覇記念植樹。名にちなんで、さくらんぼの木)
(中央:宮崎競馬場コース、さすがに広い 右:セリの様子を後ろから…沢山のパソコンが並ぶ)
朝一番のバスで福岡を出て宮崎に着いたのは10時半頃でした。宮崎駅から宮崎神宮駅までは電車で3分、一駅区間
宮崎神宮駅から育成牧場正門まで徒歩5分ほど、中へは大体いつでも自由に入ることが出来るそうです。
私が到着した頃には2歳馬の調教供覧は終わってしまっていたので見ることができなかったのですが、
その後は1歳馬、調教の終わった2歳馬をじっくり見ることができましたし、牧場関係者の方々ともお話できました。
あと食事や飲み物が自由に振舞われていたのでラッキーでしたね(笑)。この日は雨が断続的に降っていてセリを
行うにはあまり良い日ではなかったのですが、私が昨年行った九州1歳市場よりは賑わっていたと思いますけどね。
ただ「馬市」の方も書かれているように、もっとこのセリ市の広報活動を活発にしていかなければならないかな。
もちろん地元メディアに対してもそうだが関係者にももっとこのセリのことを広く知ってもらう必要があると思う。


セリが終わって感じたのは、市場取引馬への優遇措置がなくなったことが、意外と尾を引いているんじゃないかと。
というのも、生産者側からの再上場希望者がかなり少なかったんですよ。特に1歳馬にその傾向が顕著でしたね。
つまり「わざわざセリで売買しなくても」という生産者、そして購買者が多かったのではないかと思うのです。
去年も1歳市場を見たのですが、今年の半分ほどの上場数であったのにも関わらず、今年より再上場は多かった。
再上場される馬は希望価格よりもかなり最低価格を落とすことが多いのです。そもそも最初の上場価格というのも
このご時世ですし「多少の色を付けて」というのはほとんど無いと言っていいでしょう。九州セールにおいては
近年の傾向からして1歳馬ならば最低でも100万円以上(種付け料金10万円種牡馬クラス)、2歳馬ならば150万から
200万円くらいは生産牧場としてはほしい所でしょう。北海道まで種付けに行った馬ならばさらに高額になります。
再上場される馬は生産者が「安くしてでも売りたい」という事情があることが多いように思います。
ですから購買者としては、買いたくても高いと思う馬にはあえて手を出さず、再上場を狙う場合も多いのです。
恐らく再上場すれば売れたかもしれない馬もいたでしょうが、あえて控えた生産者が多かったのでは。


セリが終わってから村山さんにお話を聞くことが出来たのですが、「他のセリに出すんですか?」との問いに
「いや、出さないつもり。」とのこと。今回村山さんが上場した中には品評会でトップの評価を受けた馬もおり、
平成20年度 軽種系1歳馬展示品評会
父もヘクタープロテクターチーフベアハートということで、セリは250万から300万円で始まっていた。
今回の1歳市場での最高価格は220万円、購買者もこれ以上は「高い」と感じる価格だったのかもしれない。
生産者側とすれば庭先取引もある、ダメなら来年の2歳セールもある。ここで無理して売らなくても……
ということだったのではないだろうか。今回はあくまで馬主や関係者さんたちへの馬の「顔見せ」だったのでは。
今回の馬たちのデータは情報として関係者の方々の口頭で伝わるだけでなく、ネットなどにも載せられる。
庭先取引を活発化させるためにも、九州でこれからもセリ市を行っていく必要はあるのではないだろうかと思う。


今回の九州セールで特筆すべきなのは、やはりJRAが購入していったということだろう。
JRAが九州セールで購入したのは2004年以来(この時が1992年以来12年振りだった)久しぶりのことだった。
また、購買登録者24名というのも決して悲観する数字ではないと思う。1歳2歳合同では少ないという声もあるが
この中にはこれまで見られなかった馬主の名前も少なからずあったという。例えば小田切有一氏もその一人だ。
当日ご本人がに来られていたのか代理だったのかまでは分からないが…(九州で会社経営されているんですよね)。
あえて言うならば、やはり2歳の上場馬が少なかったことか。2歳セールのみで帰った馬主さんもいらっしゃった。
ただ2歳馬の上場がこれ以上増えればまた1歳と2歳の市場を分けて行われる可能性が高いわけで、
恐らく上場馬が増えるであろう来年のトレーニングセールを楽しみにするしかないか。頭数が増えれば
そちらはそちらで参加する馬主も戻ってくると思われる。KRAも今年は8頭しか上場されないということで
自重したのかもしれない。今回も8頭中6頭も売れたのなら十分なのだが、やはり上場馬の確保は必要だ。


また、九州1歳市場でお得意様である熊本県馬主会の購買が今年は少なかったのも響いたか。
荒尾競馬場自体が苦しい状況なので、補助馬へ回すお金が少なくなっているのかもしれない。
佐賀と荒尾、この二つの競馬場の九州産馬へ及ぼす影響は計り知れないものがあると再認識させられた。


九州セールは安い安いと言われるが、これくらいの売却価格はある意味で例年通りだった。
安いからと嘆くのではなく、安価であることを「武器」にしていかなければならないと思う。
先日3歳500万下を勝ち、既に2000万円以上稼いでいるハンターキリシマもこのセリ出身馬である。
JRA競走に勝った競り市場出身馬の紹介(5/10、ベンチャーナインなど10頭) - 【サラブレッドセール(せり市場)=馬市】&【種牡馬】の最新情報 by馬市.com
上記の「セリ出身勝ち馬」には何百万、数千万円で購入された馬もいるが、この中で「150万円」という数字が
一際輝いて見えるのは私だけだろうか。セールで安く買われた馬の中からでも活躍馬を輩出できるというのを
九州セールは体現して見せているのだから。もっともっと評価されてもいいと思うんだけどなぁ、九州の市場は。


同様の質の血統馬であっても、他所のセールと比較すると九州セールでは間違いなく安く買えると思います。
逆にこの馬たちを他のセールに持って行って九州産だということを隠して売ればもっと高く売れるかもしれません。
日本のセリには先入観で値段が左右されているのは間違いないと思いますね。日本最高峰と言われるセレクトセールですが、セール自体に付加価値があるから、上場されればその馬の価値が高まると言っても過言ではないかも。
逆に選ばれるには沢山の馬の中から様々な条件(血統はもちろん、牧場の「格」など)を絞り込まれてでしょうが。
馬主の中にはセレクトセールで馬を買うということがステータスになっているようですしね……。
確かに選ばれた馬ですから間違いは少ないのでしょうけど、馬主の方々にはできれば多くの市場に顔を出して
馬を1頭1頭見比べて吟味してから「安くて良い馬」を選んでほしいものです。



左から
メガスターダム母マイネエルザ
チーフベアハート母ヒカルパロサント
サイレントハンター母リンデンリバティー
マルカダイシス母リャマーダ(クリノダイシスの全妹)
今回この馬達が主取りだったのはかなり意外だったが、間違いなく庭先取引で売られるだろう。