座布団が行司にクリーンヒット

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宮崎小旅行

日帰りで宮崎まで行ってきました。

宮崎ステーブル

旧称「宮崎軽種馬共同育成保養センター」は最近「宮崎ステーブル」に改称しました。
こちらはその名の通り育成や休養馬を預かる牧場で、日南海岸に面しています。位置的には宮崎空港から南、
WBC日本代表などがキャンプ入りしている宮崎県総合運動公園のすぐ北側に位置します。
昨年7月にこういう記事が中日スポーツに掲載されていたそうです。コピペですが紹介しておきます。

「間違いじゃないかと思っとります、夏にこんだけ多く馬が入ってくるとは・・・」
宮崎空港から車で5分ほどのところにある馬の保養所・宮崎ステーブル(旧宮崎軽種馬共同育成保養センター) の代表・仁田脇彰さん(68)は驚きの表情。休養馬の受け入れ馬房数は50。冬期は温暖な土地柄から毎年満杯状態ですが夏期になると例年なら30頭ほど。ところが今年は7月中旬で45頭も保養にやってきたのです。
いま宮崎ステーブルに馬を預けている栗東トレセンの調教師は20人ほど。そんな中、今春のヴィクトリアマイルを制したエイジアンウインズも入厩。同馬を管理する藤原英厩舎からは、他にもドラゴンウェルズ、サイボーグなどオープン馬を含め10頭近くが入るなど、お気に入りの休養地となっています。
エイジアンウインズがG1を制する体になったのも、昨春の宮崎ステーブルでの休養効果が大きかったからかもしれません。エイジアンウインズを預かった時、「華奢な体で、踏み込みもしっかりしていませんでした」と仁田脇さん。しかし乗り込んでいくうちに「踏み込みもしっかりして体全体が良くなってきた」と。一方、藤原厩舎は宮崎ステーブルからトレセンに帰ってきた時の印象を「休む前は460キロしかなかったのが480キロと、すごい体になって基礎体力が付いて帰ってきました。それにこれまで春は冬毛が抜け切れなかったのが、今年はそれがなかったんです。めちゃくちゃ違いますよ」と、休養前と休養後の変化は一目瞭然と目を丸くしました。
宮崎ステーブルは健康馬が休養するところではなく、体の弱い馬、故障馬が休養するところなのです。

そんな宮崎ステーブルがどんなところなのか一度見てみたかったのです。仁田脇彰氏は個人で生産も行っており、
2008年度産駒が2頭います。かつてはレザームーン種牡馬として預けられていたりしました。


厩舎自体は九州のほかの牧場と変わりない感じでしたが、大きな特徴はやはり海岸調教でしょう。
最近では一般の休養馬も多く入ってきたようですが、本来は記事にもあるように体質の弱い馬、故障馬の休養所
という性格が強いようです。脚元の弱い馬には海岸調教が効果的で、『たいようのマキバオー』にもそういう描写が
ありましたが、怪我をした部分を潮につけると良いとか、海岸の砂が調教に良いとか言われていますね。

長い砂浜が広がる海岸に行ってみて驚いたのですが、こちらは人間と馬が砂浜を共有しているんですよ。
日南海岸は波が高くサーファーにとって有名な場所なのですが、ごく普通に馬が走り、ごく普通にサーファーが隣を
横切っていきますからね。こちらの砂浜にとっては普通の光景なんでしょうが初めて見た私は衝撃でした。
この日はまた全国的に春一番が吹いたという暑い日で、かなり多くのサーファーの方々が来ていました。
そして淡々とメニューをこなす馬と騎手。うーむ、なんともシュールだ。

実際に砂浜も歩いてみました。少し湿っている感じ。恐らく潮の満ち干で水に浸かることもあるのだろう。
調教は基本的には干潮の時にするのかな。ちょうど調教をしている時間に見に行くことができて運が良かった。
奥には宮崎県総合運動公園サンマリンスタジアム宮崎が見える。目と鼻の先にこんな海岸があるのですね。

カウボーイアップランチ

宮崎『カウボーイアップランチ』の宮田朋典氏 - 座布団が行司にクリーンヒット
こちらは10年くらい前から宮崎にあるウエスタン式乗馬クラブで、場長は宮田朋典さんと言います。
詳しくはリンク先を参考に。こちらの牧場に九州産の2歳馬とツルマルツヨシがいると聞いて見に行ってきました。
馬の精神科医「ホース・クリニシャン」というのも元々は乗馬を専門に行っていたそうなのですが、
競馬業界の方と知り合ってこの分野・学問・考え方が競走馬にも利用できないかと誘われたのだそうです。
その一部、初歩的な部分をご教授していただいたのですが、なるほどなぁと関心しきりでした。
馬にもメンタルな部分があることは馬の仕事をしている人間にとっては当然知っていることですが、
実際にそれをコントロールできる人間はどれだけいるのだろうかと。アメリカなどでは進んでいるそうで
日本ではまだそれほど認知もされていない分野なのではないか。例えば馬の些細な動き一つにとっても
感情表現(野性的、無意識なものも含め)深い意味があって、さらにそこに人間が動きを加味することで
馬を自由にコントロールすることができる。もちろんそうなるまでは訓練が必要なところはあるし、
馴致・育成の過程を経て馬も学んでいく。しかし、仮に訓練された馬でも他の人(調教師など)の手に渡ると
その人が知識が無ければ何の意味も持たなくなる。だからこそ周知が必要だと考えた宮田さんは最近大手の牧場で
講演をしたり、馴致から育成の様子を教材ビデオのような形で撮影し普及に役立てようとしているようです。
その活きた教材となったのがこの父ボストンタイカン母ビッグフェニックスの07なんだそうです。
決して良血とは言えない点も教材として選ばれた一つの要因だったのかもしれません。

(左・中:ビッグフェニックスの07 右:ルンバロックの07)
この仔を出産の時点からビデオで取り扱ってきたのですね。宮田さんが最初から手がけてきた馬ですし競走馬として
買いたいという人もいるそうですが、宮田さんの所有馬なのでこのまま乗馬として飼おうかと思っているそうです。
画像はありませんが二ルキング牧場生産フォーティサンデーの仔(父サイレントハンター)も入ってきていました。
画像のルンバロックの仔は今年に入って預けられたそうで、社台ファーム生産のアグネスタキオン産駒ですよ。
これほどの馬が入ってくるのですから宮田さんがいかに信頼されているかが分かりますよね。
ただ、いくら精神内科医的な見地から馬を育てても例えばレース本番ともなるとそれまでとは違う異常な状況の中で
レースという「大きな流れ」に流されて馬への指示が効かなくなることもあり、完璧ではないそうです。
それでも馬を正しく扱い導く知識が競馬界にも広まっていけば、馬の負担も軽減されるのではないかと思います。

最後になりましたが、こちらで繋養されているツルマルツヨシをご紹介。
京都競馬場にいましたが脚元を傷めてしまい乗馬を引退、こちらには完全に余生を過ごすために来たんだそうです。
さすが重賞勝ち馬でさすが誘導馬、イケメンだし雰囲気あります。携帯を近づけるとふんふん寄ってくる、噛む。
最後に泥で汚れているけど彼の横顔と、ネームプレートに書かれたメッセージでお別れです。
今回も最後まで見ていただきありがとうございました。