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宮崎県で発生した口蹄疫の影響

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/170135
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100508/lcl1005080050000-n1.htm
口蹄疫とは偶蹄類に感染する伝染病で、ごくまれに人間にも感染するそうだが例は少なく、
奇蹄類であるウマには感染しない。まずこの点だけはしっかりと認知しておいてほしいところだ。

口蹄疫のウイルスに感染するのは牛、豚などの蹄が二つに割れている動物(偶蹄目)に限られている。不思議なことに奇数の蹄を持っている馬やロバなどの奇蹄目(ウマ目)の動物には感染しない。もちろん、蹄のない人間には感染することはない。

http://news.livedoor.com/article/detail/4749768/

http://www.houko.com/00/01/S26/166.HTM
家畜伝染病予防法にも口蹄疫の家畜種類は「牛、めん羊、山羊、豚」と定められている。
既に一部のブログや掲示板などに書き込みには「サラブレッドも殺処分しないといけないのか?」みたいなものが
見受けられるが、大きな勘違いです。このような家畜伝染病の場合間違った情報でまったく無関係のものまで
風評被害を受けることが今までにも多々あった。正確な情報を認識し、デマや噂に惑わされないようにしてほしい。

「ウイルスは人や車両などの移動で拡散している疑いが強い」との見方を示した。
(中略)
小委員会は、感染の疑いがある農家に隣接した地域では口蹄疫が発生していないのに、離れた場所で発生していることなどから、ウイルスが風で運ばれている可能性は低いとしている。

http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2010050601000680_Science.html

ウマには感染しない口蹄疫ではあるが、その細菌のキャリア(運び手)にはなりうる。ただしウマだけではなく
その他の家畜、人間でさえもキャリアになる。むしろ人間の他地区への移動の方が頻繁に行われるわけで、
むしろ怖いのは人間の移動なのかもしれない。家畜の移動は極力避けた方がいいし、家畜市場には牧場関係者が
集結するということもあってキャリアになりうる可能性をできるだけ排除したいという思いもあるのだろう、
宮崎県内だけでなく隣接する九州の他県において5月中の家畜市場の自粛が次々と発表されている。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/170127
熊本のニュース | ニュース | 熊本日日新聞社

畜産農家には経済的打撃への不安が高まっている。菊池市の子牛生産者(55)は「出荷できないと収入が途絶える上、えさ代も余分にかかる。適正な出荷時期を過ぎて値が落ちるのも心配。競りが再開しても感染が広がっている現状では、九州の市場全体が買い手から敬遠される」と話した。

口蹄疫に感染する牛や豚などの農家だけでなく他の家畜市場も中止される事態に陥っている。流通がストップする
だけでなく、口蹄疫に感染しない家畜ですらキャリアの危惧から「買い手から敬遠される」事態になりかねない。
これはサラブレッド・競走馬に関しても同様だろう。馬が移動できなくなれば牧場には大きな痛手となる。


他の家畜市場と同様に九州のセリ市にも影響を及ぼし始めた。
九州トレーニングセールが中止に | 競馬ニュース - netkeiba.com
【九州トレーニングセール2010】の開催が中止に(口蹄疫の影響) - 【サラブレッドセール(せり市場)=馬市】&【種牡馬】の最新情報 by馬市.com
http://www.uma-furusato.com/news.php?mid=1453&cid=1
5/11に開催される予定だった2歳馬の『九州トレーニングセール2010』が中止に。また、熊本県家畜市場で開催が
予定されていた『軽種系1歳馬展示品評会』も中止になった。今のところ5月中に開催される予定だったものだけで
6/1 九州1歳市場2010上場馬が発表 - 座布団が行司にクリーンヒット
6/1に予定されている『九州1歳市場2010』に関してまだ中止の発表はなされていない。もし今後、口蹄疫の感染が
終息すれば、6/1にトレーニングセールと1歳市場が合同で開催される可能性もある。あるいは延期もあるかも。
もしセール自体が今年完全に無くなってしまうとなれば九州の生産者への被害は大きい。庭先取引や他セールへの
上場も考えられるが、九州の市場だからこそ集まるという関係者もやはりいるわけで、影響は避けられないだろう。


馬産への影響はセールに関することだけではない。宮崎県には生産牧場だけではなく、育成・休養牧場が点在する。
JRA宮崎育成牧場をはじめとして規模の大きな牧場もある。もし今後他地区との間で馬の移動が不可能となれば
牧場への悪影響は計り知れない。馬を預けることも競馬場へ送り出すこともできなくなるのだから。
影響は既に出ているように思う。今の状況で「宮崎の牧場に馬を預けたい」と思う関係者は少ないだろう。
現在、口蹄疫の感染が確認されているのは都農町・川南町・えびの市の3市町だけだ。かつて川南町には
サラブレッドの生産・育成牧場が軒を連ねた時期もあったが、現在はサラブレッドに関する牧場は存在しない。
現在ウマにまで移動制限はかけられていないが、宮崎県内だからと不安視されて管理馬を引き上げようとする
動きが出ないとも限らない。あるいはもうそういう事態も起きているかもしれない。現場の人たちは大変だろう。


このような伝染病は早期対策が不可欠となる。もし解決が長引いて問題が長期化すればするほど被害は大きくなる。
サラブnet
2000年から2001年にかけて欧州で口蹄疫が大発生した際は競馬にもかなりの被害が出た。このまま感染が全国規模に
広がれば日本でも競馬開催中止などの事態にもなりかねない。せめて宮崎県内で感染を収束させる必要がある。
そのためにも政府には早急に感染防止策を練り農家・牧場への支援をしてもらいたいところなのだが、現在のところ
動きは鈍いようだ。牛や豚の農家は既に大損害を受けているが、競走馬の生産、育成・休養牧場にとっても場合に
よっては死活問題になりうる。九州はただでさえ苦しい台所事情の牧場が多い。早急な対策を切に願っております。