座布団が行司にクリーンヒット

九州産馬、佐賀競馬、地方競馬、アビスパ福岡を応援しています

ダノンゴーゴーが熊本・村山牧場で種牡馬に

http://jra.jp/news/201006/063004.html
ダノンゴーゴー、熊本で種牡馬に | 競馬実況web | ラジオNIKKEI
2010年初供用種牡馬が発表 - 座布団が行司にクリーンヒット
一時は乗馬になる予定だったダノンゴーゴー種牡馬入りが決まりました。熊本の村山光弘牧場で繋養されます。
2008年のファルコンSを制し、NHKマイルCでも3着に好走。短距離界で将来を嘱望されていましたが屈腱炎を発症。
丸2年の休養を経て復帰しましたが屈腱炎を再発し引退。未完の大器は熊本の地で種牡馬として成功を目指します。


ダノンゴーゴーは米国産の持ち込み馬。血統を見てみるとかなりの良血だということが分かります。
母はアルゼンチンG1馬、半姉Melhor Aindaは米G3を勝ちアメリカンオークスではシーザリオの2着だった馬でした。
母の姉妹もアルゼンチンのG1を勝っており、母の全妹ポトリザリスは日本でディアデラノビアを輩出しました。
アルデバランIIはエクリプス賞最優秀短距離馬で、日本で走った産駒はダノンゴーゴーを中心に芝・ダートの
短距離で好成績を残しています。当馬も比較的早い時期から短い距離で走る仔を期待されているのでしょう。
具体的には小倉の芝1200m九州産馬限定新馬戦を見据えての種牡馬入りでしょうか。産地でも人気になりそうです。


村山さんは種牡馬導入に関して以前、北海道に繋養されているG1勝ちの種牡馬で、あまり成績を残せていない馬を
自分の牧場に呼ぼうとしていたことがありました。結局その話は流れたのですが、目玉になる種牡馬を導入する意思は
持っていらっしゃいました。一方で、種牡馬を導入すればその種牡馬だけに種付けが偏ってしまいがちになり
生産馬のバリエーションが少なくなって売却の際に売りにくくなってしまうことを考え、自牧場への種牡馬の導入には
慎重な部分もありました。そんな村山さんがついに種牡馬導入を決めたわけですから、かなり期待しているのでしょう。


ダノンゴーゴーは確かに良血ですが、成績はG3を1勝したのみです。ダノンゴーゴー以上に実績を残したG1馬の中には
種牡馬になれない馬もいます。コスモバルクデルタブルースのようにアイルランドに移籍して種牡馬オファーが
来るのを待ち望み(バルクは直前に怪我で移籍できませんでしたが)、ブルーコンコルドに至ってはオファーが無く
乗馬になってしまいました。こういう馬たちがなぜ種牡馬になることができないのかという疑問はあります。
その理由としてまず一つに、これらの馬たちの血統が現在の日本生産界ではあまり評価されていない現状があります。
そのため単純にオファーがどこからも無かったという可能性はあります。しかし中にはオファーがあっても
断ってしまう例もありようです。それはオファーがあった繋養先の「格」によるもの。G1を勝った馬となれば
各地に点在する種馬場あるいは有力牧場などでの繋養でなければ敬遠されるようです。種馬場ともなると
種牡馬を専門に繋養しているところですからノウハウがあって信頼感が高く、保険や補償なども充実しています。
これが個人牧場での繋養となると、いくら名馬を輩出した牧場であっても種馬場とは色々な部分で差はあります。
種馬場の間ですら立地、種付けを集められる繁殖牝馬の質、その他条件で格差があります。良血のG1馬ばかりが
集まる種馬場もあれば、比較的マイナーな種牡馬が集まる種馬場まで。あえて名前は挙げませんが皆様ご存知かと。
もし種牡馬にしても種付けが集まらず尻すぼみになるのは明らかだと予測がつくのなら、最初から種牡馬にせず
大手牧場で乗馬なり功労馬として末永く余生を過ごしてほしいと願うのは分からない話ではありません。
種牡馬は功労馬に比べてストレスはかなりかかります。よく「種牡馬体型」と言われますが、種牡馬になれば
あえてその体型にもっていかせますし、維持させなければなりません。種付け一つにしても牝馬とは動物同士のこと。
どんな事故が起きてもおかしくはありません。種牡馬になるというのはそれだけのリスクも伴うわけです。
個人牧場で種牡馬を繋養するということはリスクの増大、繁殖牝馬の質量、様々な面でマイナスが多いのです。
馬主の意向も強く反映されます。中には馬主さんが自分で所有する牧場に繋養される例もあります。例えば海外から
オファーがあったとしても、その国が競馬レベルの高い国であっても、できるだけ身近に留めておきたいと
馬主さんが思う気持ちがあれば仕方ありません。特に外国は能力喪失すれば即処分される例もあり、繋養先の牧場と
よくよく意思の疎通を行っていなければならないでしょう。G1勝ち馬となると多くのファンがいることもあります。
大事に扱わなければ批判を受けることもあり、関係者はその辺にかなり神経を使っているようです。


そんなわけで、ただでさえ北海道でもない、まだ生産を始めて日が浅い九州の個人牧場が実績のある種牡馬
導入しようとするのは並大抵のことではないのです。前述の村山牧場が導入しようとしたG1勝ちの種牡馬にしても、
北海道の生産者・関係者などが難色を示したために実現には至りませんでした。もしブルーコンコルドなどに
九州の生産者がオファーを出していたとしても、向こうが承諾していたかどうかは微妙です。九州だけに限った
話ではありませんが、個人牧場が種牡馬を所有する場合はほとんどが良血だけども実績の薄い馬というのが多いです。
あとはクラキングオー倉見牧場のように、その牧場が独自に大事にしている血統の種牡馬を所有する場合も。
ダノンゴーゴーはその観点からするとギリギリOKだったのではないでしょうか。もしG1を勝っていれば
間違いなく北海道の種馬場からオファーがあったのでは。「G3を1勝」しかもそれが2008年の勝利で、
長期休養していたためにフレッシュさを失っていたのも、村山牧場としては運が良かったのかもしれません。
(追記)
九州1歳市場に行ってきました - 座布団が行司にクリーンヒット
九州セールで導入の経緯などを聞くことができました。九州には少ないミスプロ種牡馬で期待されていました。
http://www2.keiba.go.jp/KeibaWeb/TodayRaceInfo/RaceMarkTable?k_raceDate=2010%2f07%2f23&k_raceNo=10&k_babaCode=33
ちなみにこのレースは村山さんが冠協賛して行ったものです。しっかり宣伝されていますね。