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九州1歳市場に行ってきました

【九州1歳市場2010】の結果概要(高額馬写真等) - 【サラブレッドセール(せり市場)=馬市】&【種牡馬】の最新情報 by馬市.com
■九州1歳市場結果一覧 2010年8月3日開催
特筆すべきはJRAが二頭も購買したことでしょう。近年の九州セールとしては快挙です。
以前九州産アラブの全盛期には中央競馬会が九州セールで購入し抽選馬としてデビューするのは
そう珍しくはありませんでしたが、中央でのアラブ競走が無くなり、久しくJRAは参加登録はするものの
実際は買わないという年が続いていました。その傾向が変わってきたのが一昨年で、柏木牧場の馬を購買、それが
ボーンキング母ゲイリーアミューズブリーズアップセールで1000万円超で売却されたネオスペチアーレでした。
昨年JRAは村山牧場の馬を購買、先日九州産限定未勝利戦で初勝利を挙げたパティオですね。購買された前の2頭が
それなりに走っているのもJRAが購買を増やした理由の一つでしょう。抽選馬時代は安っぽいイメージが強かった
育成馬ですが、近年のJRAブリーズアップセールは出身馬がG1を勝つようになり評判が高まって毎年売却率が
100%にもなる大人気セールに。セレクトセールほど価格帯は高くならないとはいえ、最近はちょっと過剰に
人気になりすぎ、みんなハイテンションになっているのか変な値段がついたりするのもザラですが(苦笑)、
ネオスペチアーレの1000万円超えはいまだに信じられませんもの。九州産でこの値段。そんな人気なので、
JRAとしてはもっとセールで余るくらいまで育成頭数は増やしていいのではないかと以前ブログでも書きました。
民業圧迫という声が出るくらいですし、美浦を中心に馬不足、今の勢いならJRA側も損はしないでしょう。
マル抽時代はちょっとマイナーで安価な馬を沢山買って育成し抽選馬として売り出していたのですから、
育成技術がさらに向上した今こそあの頃の精神に戻って、そんな馬たちを叩き上げていってほしい。
先日ブログで紹介した記事に「JRA育成馬が九州産馬を変える」というのがありました。
九州産馬限定未勝利戦ほか 今週の2歳馬出走情報 - 座布団が行司にクリーンヒット
JRAが九州産を購買して育成し、その馬が活躍することは確かに大きな意味があると思います。宮崎育成牧場出身馬が
活躍して存在価値を高めていってほしいです。ただ忘れてはいけないのは宮崎育成牧場だけでなく、九州全体が育成の
メッカであるということ。意外な活躍馬が九州で育成されて巣立って行きました。これはまた後日紹介します。


JRA購買馬の傾向を見てみると、一昨年がボーンキング産駒、去年がキャプテンスティーヴ産駒。
ブリーズアップセールで売却することも考えているのか、北海道の種馬ばかりで九州の個人牧場繋養種牡馬や、
マイナー過ぎる種馬は買わないようだ。今年もルールオブロー産駒とロドリゴデトリアーノ産駒だった。ロドリゴ
九州種馬場の種牡馬だが過去の実績があるし、スーパーホーネットの活躍もあって売れると判断されたのだろう。
一般的にはこれらの種馬すべてマイナーの括りにされるのかもしれないが。今後も九州産馬がJRAに購買して
もらえるようにするならば、父のことは常に考慮しないといけないだろう。ぶっちゃけ九州の種馬はロドリゴだけ、
今後の産駒の活躍次第では一層難しくなるかもしれない。あとは北海道の種馬しか無理っぽい。もう少しハードルを
下げてほしいのだが……血統だけで判断せず、いい馬ならどんどん購入してほしいものだ。
ルールオブロー産駒を生産した本田さんはかなり嬉しそうでした。JRAが買っていったのはアラブ以来らしいです。
九州ではいまだ数少ないJRAの購買ですから、自分の馬が選ばれること自体が生産者にとって誇りになるし
モチベーションになるのです。比較的高く買ってくれますしね。それだけにJRAはもっと購入を増やしてほしい。


余談ですが村山さんは2歳パティオ、マサシの活躍ぶりに手応えを感じているようでした。3歳のコウユーヒーローも
あくまで叩き台のつもりだった1000万下で3着に好走して霧島賞本番が非常に楽しみになってきました。
まだ生産を始めて5年ほどの牧場が躍進の兆しです。ダノンゴーゴー種牡馬としてやってきましたが、
以前からつながりのあるノーザンファームから種馬にしないかと話を持ち掛けられたんだそうです。
最初は乗馬になる予定でしたからね。ノーザンファームとしてももったいないと感じていたのでは。
村山さんとしては軽く、アテ馬として置いといていいかな…くらいの気持ちだったそうですが、
いつの間にかJRAホームページで発表され大きくニュースになってしまい北海道などからも問い合わせの電話が
かかってきて反響の大きさに後になって驚いたそうです。ノーザンファーム経由でダノックスの会社からも
連絡があったそうで。ダノックスはロシアやドイツから新しい血統の馬を輸入したりと新進気鋭で、生産の方面にも
興味を持っている様子。ダノンゴーゴー産駒を持ちたい、牝馬を村山牧場に預けたいという方向性はある模様。
こうやって新しい繋がりが出来ていくんでしょうねぇ。数年後どうなっているのか楽しみです。


九州セールの話に戻しますが、今年はJRAの購買のほか売却率も増え、いいセールになりました。
欠場馬が9頭出てしまったのは仕方ないことです。6月に開催される予定だったので4月にはもう上場馬名簿が
発表されていたわけで、8月までの間に状況も変化します。坂本トニアシュタールの坂本さんも1頭上場予定でしたが
直前に脚をぶつけてしまい、控えたそうです。いい馬だっただけにとても残念だとおっしゃっていました。
ミッキーコマンドやインタレスティングの下にあたるスイフトクインの仔も欠場。欠場馬もいれば一方で上場馬が
4頭増えました。開催日がずれて夏の小倉開催と被り、逆に購買登録者が増えたのではと少し期待していたのですが、
関係者のお話によると例年と変わらない程度だったようです。昨年より平均価格は下がりましたが、
他セールも似たような感じですしね…。売却率が増えただけでも喜びましょう。今年は比較的売却が多かったので
来年が心配という声も聞かれた。何が心配かというと、1歳馬が売れすぎると翌年の2歳トレーニングセールの
上場馬が足りなくなってしまうというもの(笑)。嬉しい悩みではあるが、欠場馬もいたし、1歳市場で購買された馬が
育成されてトレーニングセールに出て来ることもしばしばある。そこまでの心配をすることはないように思う。


他の話題としてはオレハマッテルゼ産駒を父も所有していた小田切有一オーナーが競り落としたこと。
以前から村山牧場には何度か問い合わせがあったようです。小田切氏が九州のセリで購買したのは初めて?
アラブ時代くらいまでに遡れば過去にもあったかもしれませんが。昨年の九州トレーニングセールにも購買登録は
していたものの競り落としてはいませんでした。九州、福岡の馬主さんですし、今後とも九州競馬、九州産馬
関係を深くしていってほしい。最近は息子さんが馬主デビューしたこともあってか、荒尾で息子さん名義で
何頭か入れるようになりました。今まで荒尾に馬を入れたことはなかったですからね。個人的にも嬉しい傾向です。
あと目立ったのはやはり柏木さんと、目新しいところでは矢野氏。(株)クラウンというところも購買していますが、
ここは矢野さんの会社なのです。矢野氏の冠名がクラウンですからね。今年の九州産2歳馬も所有していて今後注目の
馬主さんだ。大分で乗馬クラブもやっているらしく、生産・育成の牧場も大分で始めたようだ。一度行ってみたい。
期待していたミッキーコマンドの初仔は主取りでした。お題が250万から300万くらいと高額だったので
敬遠されたのかもしれないが、北海道までアドマイヤマックスをわざわざ付けに行ったくらいですから
妥協はできなかったんだろう。父メガスターダムテイエムルビーの仔を上場した川俣静剛さんは北熊本乗馬クラブの
代表の方。恐らく乗馬クラブの敷地内で生産されたのではないかと思う。この北熊本乗馬クラブはJRA高倉稜騎手が
競馬学校に入る前まで所属していた乗馬クラブなんですよね。この仔がもし中央デビューすることになったとしたら
是非、高倉稜騎手に手綱を取ってもらいたいと思います。こういうのは夢が広がるよなぁ。