座布団が行司にクリーンヒット

九州産馬、佐賀競馬、地方競馬、アビスパ福岡を応援しています

『サラブレ』のプニプニヨークン特集

サラブレ』9月号に掲載された「残ってくれ〜!!ニッポンのこの父系」というコーナーのトウショウボーイ系で
紹介されたプニプニヨークンと父マイネルスマイル、そして馬主である鍵谷篤宏氏が紹介された。
サラブレ』ではこの後10月号・11月号と連続でプニプニヨークン特集記事を組んでいる。時々こういう、
一部の人が大喜びしそうな特集記事を出してくれるので『サラブレ』は大好きで、毎号買ってしまうのである。
プニプニヨークンと父マイネルスマイルについては、一部のマイナー血統ファンの間ではそれなりに有名なのだが
よく知らないのという方はまずこちらを見て頂いて、どんな馬、馬主さんなのかを知ってもらいたい。
父系馬鹿:マイネルスマイル - livedoor Blog(ブログ)
(鍵谷氏は牧場に父母2頭を預ける形にしているようなので、馬主だが「生産者」の名義は違う名前である)
一口馬主時代に惚れ込んだ母マイネポラリスと父マイネルスマイルの2頭を引き取り、すべてこの配合で生産、
しかも産駒のほとんどが地方で結果を残しているのである。プニプニヨークンは園田でオープン特別勝ちのほか
重賞・摂津杯2着などの実績がある。鍵谷氏は「プニプニヨークンとスベスベヨークンは必ず種牡馬にする」と公言、
トウショウボーイのラインは厳しいながらなんとか存続しそうなのだ。しかもそれが数多くいたトウショウボーイ
後継の中で、主な勝ち鞍500万下と障害未勝利というマイネルスマイルが最後に残った希望になるとは。


さて『サラブレ』の記事の方だが、ざっとした概要を箇条書きにしてみる。詳しくは本誌を実際にご覧ください。

  1. 「鍵谷氏はBTCで日々持ち馬の調教を指示している」
  2. ヨークンシリーズは全頭自らの手(指示の下)で育成
  3. あまりにも熱を入れすぎて「去年(神奈川の)自宅を売っちゃいましたよ」
  4. プレストウコウシービークロスは好きだったが、実はトウショウボーイは好きじゃない
  5. 「この馬は生涯に巡り会える中での最高の馬」だと直感したマイネポラリスを家族で合計5口購入
  6. そのポラリスと(主に返し馬に入る際の動きで)同様の気配が感じられたのがマイネルスマイルだった
  7. 「この2頭を掛け合わせたら、自分にとって最高の子供ができるんだろうな……」
  8. 2頭の引退後、マイネル岡田繁幸社長に申し出て、無償譲渡してもらうことに
  9. 親から受け継いだ資産と持ち家を処分、創意工夫を凝らして維持費は年間200万円弱
  10. 「ヨークン」シリーズはファンに記憶してもらい愛着をもって接してもらいたいために命名
  11. スベスベヨークンは現在骨折で休養中、復帰は来春を予定
  12. 「仔はみんな晩成型なんですよ。完成するのは4歳秋だと思っています」
  13. この血統は「完全に芝向き」ということでJRAにも挑戦、プニプニヨークンは過去2回は大敗しているがそれには能力とは別の明確な理由があり、この馬の能力を引き出すには乗り方に‘ある条件’が必要なのだという


※1.鍵谷氏はBTC内では「知らない人はいない」という存在なのだとか。しかし具体的にBTCの職員とも育成牧場の人だとも書かれておらず、一体何者…? 育成畑の方っぽい感じではあるが。

※5〜8.先に目をつけたのはマイネポラリスの方で、マイネルスマイルはその後から。マイネポラリスは中央で2勝したものの、父ダイナオリンピアというマイナーな血統ということもあってか繁殖入りの予定はなかったのだが、鍵谷氏の懇願で一転繁殖に。2頭のマイネル馬を産んだ後、マイネルスマイル引退のタイミングで鍵谷氏が岡田氏に申し出て両馬の譲渡が決定した。父母どちらも血統ではなく馬体等の方に心を奪われたようなので、トウショウボーイラインの存続は結果的にそうなった、ということなのだろう。
※13.‘ある条件’の具体的な内容については書かれていないが、産駒の中で地方で認定新馬戦を勝って中央に遠征した仔すべて増沢由貴子騎手(旧姓・牧原)に騎乗を依頼している点がヒントになるのかもしれない(単に増沢騎手本人に思い入れがあってのことなのかもしれないが)。認定を勝っていない馬でもウキウキヨークンは、ちょうど2007年レディースジョッキーシリーズが浦和競馬場で行われた際に依頼、それに応えて増沢騎手も8番人気ながら勝利に導いている。


サラブレ』では鍵谷氏を「馬産家でも、調教師でもない。いわば‘すごい競馬ファン’である。」と評している。
紹介したリンク先でも「馬キチ」「並大抵って言葉じゃ説明出来ない程の愛馬精神を持っている」と。
なんだかよく分かりませんが、とにかく凄いことだけは伝わってくる、大の馬好きなのだろう。

日本中のヨークンファンが知らない事を僕は知っている。
とある種馬を今春、種付けを行い来年、産まれる予定である。
サンデー系が嫌いなオーナーなんで僕、お勧めのブラックタキシードは2〜3番手評価で、とある年のダービーを勝った馬で決めたようです。
 メスを産まないオスを産み分けてる優秀な母ポラリス
気性難が多く出ると言われてるんで、♀よか♂を産んで頂戴な。

http://blog.goo.ne.jp/yamasaki-stable/e/99ffc8e861d611d9bcdea8faf027cd86

その知り合いの育成牧場の方によると、マイネポラリスはなんと今年は、毎年種付けし続けてきたマイネルスマイル
ではなく、「とある年のダービー馬」を付けたという。サンデーサイレンス系ではないということなので、
該当する馬はメイショウサムソンキングカメハメハタニノギムレットジャングルポケット
フサイチコンコルドトウカイテイオーあたりか。マイネポラリスも今年で19歳、高齢を考えると
繁殖生活も残り少なくなって来ている。ここらで少し違う方面に寄り道するのもいいのかもしれない。


生産界は常に流行の種牡馬・血統があり、生産者は馬を高く売るためにもその流行に乗ろうと努力する。
生計を立てていく為にもそれは正しいやり方かもしれない。しかし、日本競馬が「社台の運動会」と揶揄される昨今、
同じ牧場の良血馬、同系の配合馬ばかりが活躍するのでは面白くない。生産に何かポリシーを持ってもらいたい。
思えばかつての日本の競馬は、生産者や馬主がそれぞれに個性を持っていて、ならではの血統というものが
必ず存在したものだった。血統に固執しろと言っているのではなく、ファンが思わず応援したくなるような
独自路線を貫くホースマンがいてもいいのではないかと。鍵谷氏には今後も自分の道を歩んでいってほしいものだ。


関連:
栗山求ブログ: トウショウボーイ系最後の競走馬(コメント欄に鍵谷氏ご本人登場)
スベスベヨークン | 南関魂 高橋華代子の南関東競馬ブログ