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走行妨害の降着基準を「カテゴリー2」から「カテゴリー1」に変更

JRA 走行妨害の降着判断を世界基準に変更― スポニチ Sponichi Annex ギャンブル
http://www.sanspo.com/keiba/news/20120823/kei12082305040007-n1.html

 アジア競馬会議で、「走行妨害ルールの世界統一基準は成し得るか」という議題の討論会が行われ、そのなかで英国競馬機構競馬施行および規則担当役員のジェイミー・スティアー氏が、世界の主要競馬開催国の降着の判断基準には2つのカテゴリーがあることを説明した。
 それを私が取材で得た情報をまじえて紹介すると---。
 現在、主要開催国における降着の判断基準はカテゴリー1とカテゴリー2に分かれている。
 カテゴリー1では「その加害行為がなければ被害馬は加害馬よりも上位になることができた」とみなされた場合に降着となる。
 加害馬と被害馬の入線時の着差が重視され、ゴールに近いところで生じた走行妨害による被害馬に与えた影響が大きければ降着となる。スタート直後など、ゴールから遠いところで生じた事象では、被害を与えていてもそれが着順に影響したかどうか判断しづらいため、降着にならないケースが多い。
 カテゴリー2では、「その加害行為が被害馬の競走能力発揮にどのくらい影響を与えたか(その影響でどれだけ減速したか、あるいは騎手がバランスを崩したかなど)を見て総合的に判断する」という考え方が基準になっている。
 日本はカテゴリー2の国である。ほかに、フランス、ドイツ、アメリカ、南米の国々、そして今回アジア競馬会議のホスト国となったトルコもこちらのカテゴリーだ。
 カテゴリー1の国(地域)はオーストラリア、ニュージーランド、インド、シンガポール、香港、マカオ、韓国、南アフリカUAEなどアジア競馬連盟に加盟するほとんどの国々と、イギリス、アイルランドなど。
 スティアー氏は、カテゴリー1と2の違いを説明したのち、前日に行われた「国際裁決委員会議」で、JRAが裁決ルールの見直しを検討しているという発言があった、と述べた。
 JRAは2007年から「競走ルールの調和に関する委員会」や「国際裁決委員会議」といった国際会議に参加するなど、裁決基準を含めたルールの検証をつづけ、議論を重ねてきた。今回の見直しは、その流れを受けてのものである。
 JRAの提案が日本のサークル関係者に受け入れられ、さらに規定改正に伴う所管官庁の認可が得られれば、JRAの裁決基準は、カテゴリー2からカテゴリー1に変更されるだろう。順調に行けば、新ルールは来シーズンから適用される予定だ。これは非常に大きなステップであり、JRAの努力を評価したい---と、スティアー氏は壇上で語った。
 過去のGIで1位入線馬が降着になったケースにカテゴリー1の裁決基準をあてはめたらどうなるだろうか。例えば、ブエナビスタが1馬身3/4差で1位入線しながら2位入線のローズキングダムの走行を妨害して2着に降着となった2010年のジャパンCは、降着にならない可能性が高い。あれだけ着差があり、被害馬のローズキングダムとの脚勢に差があれば、あの走行妨害がなくても被害馬は加害馬に先着していなかった、とみなされるからだ。ただし、加害馬の鞍上のC.スミヨン騎手には、当時受けたものと同等かそれ以上の制裁が科されることになる。
 メジロマックイーンが6馬身差で1位入線しながらスタート直後の斜行で降着となった1991年の天皇賞・秋も、降着にならない可能性が高い。ゴールから遠いところで生じた事象であるため、あの走行妨害がなければ被害馬が先着できたかどうかを判断しづらいからだ。
 ここに挙げた事例が示すように、カテゴリー1になると、降着となるケースはかなり少なくなりそうだ。見た目で先頭でゴールを駆け抜けた馬がそのまま勝ち馬になりやすくなるのだから、ファンにとっては、よりわかりやすくなると言える。ただし、繰り返しになるが、降着の有無にかかわらず、走行妨害をした騎手には厳しい制裁が科せられる。
 頑張った馬の着順はそのまま、ラフな騎乗をしたりミスした騎手には制裁を科す……といったケースが増えるということは、つまり、「着順は着順、制裁は制裁」として、着順と制裁を分けて考えるルール、と言うこともできる。
 裁決基準に関する協議を繰り返してきたJRAは、カテゴリー2より1のほうが優れていると判断したわけではなく、とにかく「シンプルで、わかりやすく、合理的な裁決基準」を目指した結果、カテゴリー1への移行を考えるに至ったようだ。
「着順は着順、制裁は制裁」というと、思い出されるのは2008年のオークスで、トールポピーが最後の直線で斜行し、レジネッタなど4頭の走行を妨害して1位入線後、降着とならず、そのまま1着となりながら、鞍上の池添謙一騎手に2日間の騎乗停止処分が科せられたケースである。
 あのレースに「その加害がなければ被害馬は加害馬に先着していたかどうか」というカテゴリー1の判断基準を当てはめれば、トールポピー降着にはならず、騎手への制裁だけとなるだろうから、当時の裁決と同じ結果ということになる。だが、あれはたまたま結果が同じになっただけで、適用した裁決基準は現行のカテゴリー2のものだった。
 カテゴリー2は「その加害が被害馬の競走能力発揮にどのくらい影響を与えたか」が降着の判断基準となるわけだが、トールポピーに走行を妨害された4頭とも、能力発揮への影響は、加害馬を降着にするほど大きなものではなかったと判断され、着順は変更されなかった。が、加害馬の斜行が危険だったり、悪質だったり、継続的だった場合には騎手に制裁を科す、というルールにのっとり、池添騎手が騎乗停止になったのである(内斜行が継続的とみなされた)。05年に変更された規程による「降着のない騎乗停止」という措置だったのだが、それまで適用例が少なく、なおかつGIの目立つ舞台だったため、多くのファンや関係者の関心を集めることになった、というわけだ。

http://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=20844

すごく簡単に言うと、降着は減り騎手の制裁だけになるということか。
ファンの目線から見てシンプルで分かりやすくなるならば、それはそれでいいのかもしれない。
あとはJRAの裁決委員にとっても判断しやすいものであることも大切だ。結局は人間のすることなのだから。
新しい「裁決基準」は期待できるか

多くの調教師から聞こえてきた声は「基準を新しくすることよりも重要なのは裁決のブレをなくすこと。大事なお金を使っているファンに対して納得がいくような統一した判定をすることが大事。」
(中略)
「結局のところ、裁決を独立した専門的な部署にしてスペシャリストとして育てないと構造的な問題は解決しない。ちょっと前まで違う部署にいた人間が裁決になってジャッジをしているのはおかしい」と某調教師は根本的問題は未解決だと語る。

そういうことですよね。今後は「降着が無かったこと」に対して大きな不満の声が出てくる可能性だってある。
結局はジャッジの精度を上げていくしかないのだ。そこに手をつけないと今後も同様の問題は起こり続けると思う。