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障害戦で騎手確保できず出走取消 障害騎手不足が健在化

http://www.jra.go.jp/news/201301/011905.html
変更騎手おらず京都、中山で出走取り消し - 競馬ニュース : nikkansports.com
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130120-00000037-spnannex-horse
1月20日に行われた牛若丸ジャンプステークスで北沢騎手と金子騎手が落馬負傷したため、
翌日京都・中山で二人が騎乗予定だった馬がどちらも騎手確保できず、出走取り消しになってしまいました。
2年ほど前から中堅騎手の引退が続発し、特に障害レースでは以前から騎手不足が囁かれていました。

 先日も木曜の投票所で「空いている障害ジョッキーはいないかな。これでは投票すらできないよ」と泣きべそをかく調教師がいた。美浦で稼働している障害ジョッキーはすでに15人を下回っているのだ。

http://www.tokyo-sports.co.jp/race/72629/

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騎手引退ラッシュの要因は「厩舎制度改革」によるものです。「厩舎12人体制」に移行し、
厩舎スタッフの定員が減ったことにより騎手が調教助手に転身する条件が厳しくなり、さらには
賃金体系の変更で新規採用者の給与が低くなったため、駆け込みで引退する騎手が続出したのだった。
美浦勇退調教師が年々増加するなど経営不振に陥る厩舎が続出するなど問題になっている現状、
厩舎制度改革はやむを得ないものとして見てきましたが、違った形で悪影響が出てきてしまいました。
個人的には、年功序列で高くなり過ぎた高齢従業員の給与体系の方が問題なのではないかと思うので、
新規採用者の給与を低くするよりも、早期退職を積極的に促すことが重要のような気がします。


問題はそれだけではない。障害免許を所有しているにも関わらず、騎手たちが障害戦を忌避している点だ。
今回の回避は、自主的に調教師が出馬を断念させた可能性もある。障害馬というのは平地馬を
ジャンプできるように一から騎手が育てていくものだ。現在では設備の整った育成施設で乗り込まれた
新馬たちが入厩していきなりレースでも結果を出す時代だが、障害戦はある意味で昔ながらの手法である。
調教段階から騎乗し、飛越などその馬の性質がわかっていないと本番でも危ない。
よほど気性が大人しく乗りやすくてジャンプも上手い馬でないとテン乗りは難しい。
乗れる障害騎手が残っていてもJRA公式発表では「変更する騎手がいないため」となったのかもしれない。
しかし今回の件ではどうも様子が違うらしい。騎乗可能でも騎手たちが断っていたというのだ。
これは『Gallop』福原直英アナウンサーのコラムでも言及されていたので間違いないだろう。
対岸の火事ではない障害騎手不足

 12年は1年間で20名以上の騎手が引退したJRA。来年の新人騎手も最大で4名程度で、地方出身騎手が合格したとしても、5〜6名ということになる。本日の中山競馬は熊沢騎手の中山大障害制覇で盛り上がっていたのだが、騎手が少なくなることで困るのは障害戦だ。
 「引退する騎手の大半は平地しか乗っていない騎手だし、仮に免許を持っていても、障害ではイマイチだった騎手も多いのは事実。ただ、基本的に中堅以下の厩舎は、最近、平地では勝てないので、障害戦に使わざるを得ない厩舎も多い。そうすると、どうしても障害に乗れる騎手が不足するのは痛い」という。
 さらに、障害に乗る騎手からはこんな声も。「中山大障害の次の日に阪神で障害戦が組まれているんですよね。移動そのものは当たり前だと思うけど、勝負にならなそうな馬でも騎手が足りなくて乗らざるを得ない騎手もいる。最近は柴田大知騎手も障害に乗らないし、今年の始めくらいまで障害に乗っていた騎手の中には平地に専念するようになった人もいて障害騎手が不足気味。しかも、勝負になる馬ならともかく、障害1鞍のために、移動が続くのは経費が掛かって仕方がない」状況だそうだ。そういえば、騎乗が減っていた障害騎手が最近、騎乗数が増えている現象も起きている。このままでいくと、障害馬の数が足りなくて番組が組めないということよりも、騎手が足りなくて、頭数が揃わないということが現場では囁かれている。
 「だったら外国人障害騎手の短期免許を受け入れればいい」という皮肉まで聞こえてきているのだが、JRAはどのように考えているのだろうか……。
美浦ライター:高木)

http://dev.iuma.jp/pc/detail_8319.html

http://ameblo.jp/theagents0korinaitonogat/entry-11454351972.html
普段から障害に騎乗していない騎手が尻込みしてしまうのは仕方ないと思えるのですが、
今回は以前からよく障害でも騎乗していた騎手が依頼を断っていたらしいのだ。
柴田大知騎手や大庭和弥騎手は、二人とも昨年のある段階からピタリと障害騎乗をしなくなりました。
柴田騎手は9月、大庭騎手は8月からぱったり。心境の変化なのか、詳しくは不明ですが…。
柴田騎手は近年不振が続いていましたが、障害レースでの活躍で脚光を浴びて復活しました。
最近はマイネル・コスモの主戦騎手として活躍中ですが、マイネルネオスでの中山グランドジャンプ制覇も
その岐路になっていたはず。騎手としては自分の体が商売道具であり、大事にするのは当然ではありますが…。



そもそも障害に常に乗っている騎手の絶対数が非常に少なくなっているのが問題だと思います。
騎手たちももっと積極的に障害に騎乗してほしい。特に現在目立った成績を残せていない騎手たちは
なぜ挑戦しようという気にならないのか。確かにエージェント制などの影響で騎手間格差は広がっていますが、
前述の柴田騎手のように障害で復活した騎手もいます。若手や新人も恐れずに挑んでみてほしい。
外国人騎手が、地方競馬騎手が遠征してくるから…と言い訳ばかりしている状況ではないでしょう。


しかし、あまり騎手ばかりを責められない事情もあります。やはり騎手は体が資本ですし、
落馬の危険性がある障害レースを恐れるのは分かる気がします。昨年暮れに中山大障害マーベラスカイザー
初勝利を果たした熊沢重文騎手。平地・障害両方で活躍し、有馬記念と大障害の両方を制しました。
http://gallop.sanspo.com/gallop/headline/news/121223/jra12122310410003-n1.html
しかしそんな熊沢騎手ですらレース後に「これで障害を卒業しようかと思った」と仰っていたことに
私は少なからずショックを受けました。まさか熊沢騎手まで障害をやめるつもりでいたとは…と。


障害レースに落馬の危険性が伴う以上、騎手を危険に晒すことの無いようにしていかなければならない。
障害戦騎乗手当ては平地よりも高く設定されてはいるが、安全対策にこれまで以上に取り組む必要がある。
グランドナショナル、安全性向上のため発走地点の移動などを実施(イギリス)【開催・運営】 - 海外競馬情報(2012/10/20)【開催・運営】 | 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル
グランドナショナルは、障害修正でスピードによる危険が増大か?(イギリス)【開催・運営】 - 海外競馬情報(2012/05/20)【開催・運営】 | 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル
例えばイギリスのあのグランドナショナルコースは、安全性を向上させるためにコース改修を行っている。
オーストラリアなどでも動物愛護団体などの批判でレース開催中止。こちらも安全対策に取り組んでいる。
ただ、障害を低くして飛越を簡単にするだけではむしろ逆効果のようだ。その分スピードが上がって、
むしろ危険性は増すのではないか、とも言われている。しかし障害を高くし過ぎると今度は
コウエイトライを代表するハードルタイプの障害馬の行き場がなくなってしまう。
斤量を増やしてスピードを落とすのも手の一つではないか、という意見もある。カンカン泣きするタイプには
酷のようだが、騎手がスタミナ温存を意識してスピードを落とし、危険性は低くなる。
「障害戦は落馬が多い」は本当か? - blog こばくち日記

思うに、障害で落馬するのは、飛越が下手というよりも、バテてきて高く遠くに飛べなくなったためだろう。だからペースが速くなるOPのレースで落馬率が高くなるのだと思う。
そういう意味で、バンケットや直線の急坂がある中山は騎手が意図的にペースを落とすからかえって馬がバテないんじゃなかろうか。同じ理由で、小回り(=コーナースピードが遅い)で平坦な新潟は馬がバテない(実際、全場でも飛びぬけて上がりが速い)から落馬が少ない。

実は障害が高く難しいと言われる中山コースは意外と競走中止数は少ない。陣営が中山に
飛越の上手い馬を意図的に集めているのもあるだろうが。中山大障害コースも割と落馬は少ない気がする。
落馬の多い競馬場では、スピードの出やすい位置にあえて障害を置いたり、スピードを落とすための
バンケットや襷コースも必要になってくるのではないか。中京競馬場では馬場改修の影響で
襷コースが廃止になってしまった。今後中京での競走中止数は以前よりも多くなる可能性も考えられる。
対応策は様々にあるだろう。こういう時こそJRAには競走馬総合研究所などの専門機関が存在するのだから、
プロの方々に障害レースをこれまで以上に安全で、円滑に実施できるよう研究してもらいたい。


障害騎手を増やすことも考えなければならない。最も簡単なのは他所から補充することだ。
海外には障害の名手と呼ばれる騎手は数多く、平地と両立して活躍する騎手も日本より多い。
JRAは過去に外国障害騎手招待競走や、インターナショナルジャンプジョッキーズなどで障害騎手を招待している。
またフランスの障害専門であるティエリー・マジョルクリック騎手が2000年に短期免許で来日したことがあり、
決して不可能な話ではない。海外で活躍する日本人騎手の中には積極的に障害で騎乗する騎手もおり、
こういった騎手たちを呼ぶこともできる。横山賀一氏以来の海外からのJRA騎手免許取得も面白い。


http://www.jra.go.jp/news/201301/012503.html
http://dev.iuma.jp/pc/detail_9618.html
『UMAJIN』1月号 障害騎手特集 - 座布団が行司にクリーンヒット
http://www.iuma.jp/pc/detail_10108.html
JRAはとりあえず窮余の策として番組変更で対応しましたが、これはあくまで対症療法でしかない。
色々と考えられる障害レース改革もJRAにやる気があればの話だ。障害騎手インタビューを見ても、
JRAに障害競走を活性化させようという気概は感じられない。一部の平地G1の賞金は上げて重賞も新設する一方、
障害重賞賞金に関しては年々削ってきました。無策どころか、障害廃止を進めているようにすら見える。
無関心、無策は自然と廃止への道に繋がっていきます。廃止が進む地方競馬なんてまさにそうです。
自治体が何も対策を打たずに衰えるのを待ってから廃止を打ち出す、よくあるやり方です。
元・荒尾競馬の平山良一調教師が「真綿で首を絞められているようだった」と仰っていましたが、
このままでは障害界も何ら手を打たれないまま衰退の一途を辿ってしまう可能性があります。
また、これで安易に障害廃止論を出す人もいるようですが、極めて拙速というもの。前述の福原アナウンサーは
コラム上で「障害レースの存続を議論を」と語っていましたが、改善策を一切講じずに廃止論に走るのは、
これまで地方競馬廃止を推進した人たちの言ってきたことと全く同じように感じられました。
競馬界にも障害レースは平地に劣る、というような雰囲気があるのもおかしい。確かに障害馬は必ず
平地を諦めて転向する馬ばかりですが、平地メインのレース体系になっている日本の競馬では仕方のないこと。
平地と障害、それぞれに違った魅力があるのに…このまま障害戦が衰えていくのはファンとして我慢なりません。
JRAは一刻も早く障害戦振興のために動き始めてほしい。