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4/14九州トレーニングセールを前に 九州馬産地の近況について

【九州トレーニングセール2015(Kyushu Training Sale)】は来週4/14開催! - 【サラブレッドセール(せり市場)=馬市】&【種牡馬】の最新情報 by馬市.com
今年の九州トレーニングセールを明日に控えて、少し真面目なことを書いてみようかと思います。


最近の九州の馬産について。日本の馬産地ではどこも抱えている同じよう悩みを抱えています。
生産頭数の減少、原因としては生産者の高齢化、後継者不足だったりするのも同じ。
ただし九州では元々の生産頭数が少ないので北海道などと同じ規模で減ってしまうと死活問題になります。
ここ10年ほどで最も一年間の生産頭数が多かった年度は90頭くらいでしたが、近年は50〜60頭くらいまで減っています。
これ以上減ってしまえばJRAが限定戦を取り止めてしまうのでは……という危機感を生産者さんたちは抱いています。
しかし数が少なくなった牧場が無理をして頭数を増やせばリスクが高まるばかり。
生産する牧場自体を増やしていく(生産を止めている牧場を復活させる)必要がありますが、そこが一筋縄ではいかない。
今まで競走馬を生産をしたことがない人たちに新規開業を求めるのも難しい。
そこで育成牧場に兼生産を呼びかけたりはしているようです。
北海道でも育成牧場が生産をしている所は多いですからね。


意外と競馬ファンには知られていませんが、九州の育成牧場は働き手の質や技術的にも北海道には負けないものを持っています。
負けているのは施設面くらいでしょうか。北海道ほど大規模に資金を費やせる大手の存在がありません。
しかしそこは働く人の腕や、施設も色々と工夫を凝らしています。九州で有名なのは海岸調教などでしょうかね。
冬場は雪が積もらず、青草なども長い期間刈り取れるため、コストカットにもなっています。
人員を受け入れる余裕がある(人手不足の牧場も)ので若い人材が流入しており、そんな若手にアピールしたい所なのですが……。
なかなか育成牧場も「うん」とは言ってくれません。やはり「生産はリスクが高い」とお考えなのでしょう。
出来ることなら育成牧場に預託する馬主の皆さんにも協力して頂きたいのですけどねぇ。
九州に生産を頼みたくても縁がなく、いきなり預託をお願いすることもなかなか難しいかもしれませんが、
育成牧場とお付き合いしている馬主さんは沢山いらっしゃるでしょうし、そこをきっかけにできないものか。


以前から何度か書いていますが、繁殖牝馬の権利を馬主さんが所有したまま牧場に預託する方法もあります。
このやり方が九州でも浸透してくれると牧場側としてはありがたいのでしょうけども。
「九州産には買いたい血統の馬がいない」と仰る方にもおススメです。北海道まで種付けに行くこともできますから。
自分が走らせていた牝馬を繁殖に想いを乗せ、産まれた仔を所有して走らせるという夢を実現させることもできます。


生産頭数の減少は困った問題ですが、九州産馬を所有して走らせる馬主にとってはチャンスでもあります。
それだけ「ひまわり賞」「たんぽぽ賞」を勝つ確率が上がっているわけですから。
九州トレーニングセールはその機会を得る一歩です。
客観的に考えてみても九州産馬を所有することは決して無謀なことではなく、
選択さえ間違えなければ少ない投資で大きな収支を得る可能性が高いと思うのですけどねえ。


その九州のセリ市についても問題点は少なくありません。まず第一に平均価格の安さ。
牧場側としても高く売れないセールに魅力を感じるはずがありません。
中には九州セールを避けて北海道のセールに出場させる生産者さんもいらっしゃいます。
今年で言えば村山牧場さんはHBAトレーニングセールに2頭上場させる予定です。
経費をかけて高く売れそうだという自信がある馬ならば、わざわざ北海道に持っていくのも分かります。
全部高い値段をつける必要はありませんが、評価の高い馬にはそれなりの価格がついてほしいものです。
佐賀競馬場での開催変更で利便性の向上など改善点もあります。
特に限定戦の行われる佐賀での開催は意義があると思います。
佐賀競馬場も大幅な黒字に転化しましたし、九州産も追随したいところです。
佐賀は荒尾がやっていたように九州産馬で補助馬とかやってみませんかね?


日本全体の年間生産頭数減少は昨年くらいから下げ止まり、横ばいに転じているとも聞いています。
九州でも今の生産頭数はなんとか維持していきたいところ。
近年は生産頭数が微減しているにも関わらず、九州産馬全体のレベルは向上しています。
最近ではJRA古馬1000万下〜1600万下レベルの馬たちが複数活躍していますが、
日本におけるサラブレッド生産の中で約1%程度しかない九州産馬がこれだけ走っているって、凄くないですか?


理由の一つとして考えられるのはJBBA九州種馬場の種牡馬レベルアップです。
九州における生産馬の半数以上が九州種馬場に繋養されている種牡馬を父に持っています。
JBBA繋養種牡馬の質が上がれば自然と九州産の質も上がるのです。
ロドリゴデトリアーノスクワートルスクワートキャプテンスティーヴなどの実績種牡馬が九州に上陸し、
現在は北海道での多大な実績のあるストラヴィンスキーがいます。
繁殖牝馬の質も上がってきています。これはもう、10数年前までとは考えられないくらいに。
九州産馬全体が底上げされてきており、一般戦でも太刀打ちできる馬が増えてきているのです。
そんな時に生産頭数が減ってしまってきているというのはとても残念。
繁殖が増えて生産馬も増えれば、結果を出す馬はもっと増えていくはずです。


九州の馬産を活気付かせるためにも、明日の九州トレーニングセールは盛り上がってほしいですね。