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テレビ東京『ガイアの夜明け(競走馬ビジネス)』を見て

面白かったですねぇ〜。一緒にやってた『スーパードクター』も気になって仕方なかったのですが。
脳外科手術とか局部麻酔で患者さんと会話しながらやるんですよ。いやすごい。
その前の『さんま御殿スペシャル』も面白かったなぁ……こっちの話じゃなかった、本題は『ガイアの夜明け』。
(あまりにも長文になってしまったので興味のある人だけ見てください)
今回の回は「第2のディープインパクトを探せ!競走馬ビジネスの裏側」みたいな副題がついていたわけですが、
セリ市は最初の方だけで最終的には日本の馬産、馬主事情についての話でした。
そこからさらに絞りこまれて本題は「外国資本の日本への参入」についてでしたね。要するにダーレーですよ。
番組としては結論は出していない格好ですが、なんとなく外資の参入を認めた方がいいっぽい言い回しでした。
と言うか、中身は関口会長3割、ダーレー5割、そのほかが2割って感じだったからなぁ(苦笑)
この番組を製作するにあたってダーレーから強い働きかけでもあったのかと思うくらいに。
ま、意外とそうかも。色々な手を使って外堀からでも日本に入って来ようとしていますからねダーレーは。


ダーレー(だけでなく外資全般)はとにかく日本に勢力を伸ばしたい。「外資が参入すれば競馬が面白くなるし、
例え賞金のほとんどを外資に持っていかれても日本に還元されて良い影響が出る。」と言う高橋力代表。
一方、日本の馬主の多くを代表して意見を述べたラフィアン岡田繁幸さんは
「外国資本が日本に本格的に参入すれば、日本の馬主・生産者の7割はやっていなくなる」と不安を口にする。
どちらの意見にもなるほど、と思います。
しかし私は、どちらかと言えば外国資本の受け入れには反対ですね。
日本が好景気の頃ならば反対する人も少なかったでしょう。しかし今日本の競馬界はかなり厳しい状況にあります。
弱っている今の日本に外国資本という「劇薬」に耐えうる体力はないかもしれない。
体力があった頃ならば大きな効力を発揮したかもしれませんが、下手をすれば死につながる「劇薬」です。
日本にまで勢力を伸ばそうとする外資はかなり強い力を持っています。ダーレーなんてまさにそうです。
社台グループなど大手ならば競争できる相手でしょうが、中小牧場・馬主には太刀打ちできないでしょう。


なぜそう考えるのかというと理由があります。
似たような状況にあるのが九州の馬産なんですよ。九州を小さな日本と考えるとよく当てはまるように思います。
九州の馬産は九州産馬限定レースによる賞金に依存していると言っても過言ではありません。
特にひまわり賞。このレースさえ制することができればなんとか元が取れます。それくらい馬が安いんですね。
中には九州以外で種付けしたり、他で受胎して九州に持ってきて産ませた仔などは「持ち込み馬」と呼ばれます。
日本全体に例えれば一昔前に猛威を振るっていた頃の○外みたいなもんです。かなり強い。
これが九州の種牡馬繁殖牝馬に種付けして九州で産まれた仔(純九州産)に比べると反則級なのです。
私はどうしても純粋九州産馬をより応援したくなります。こちらの方が馬産の発展にとっては重要ですから。
しかしどうしても持ち込み馬の方が強いので、九州ではどんどん増えていきました。
それに拍車をかけたのはテイエム牧場の新規参入でした。あの竹園オーナーです。


鹿児島のテイエム牧場は100%持ち込み馬です。種牡馬を見ればすぐ分かりますが北海道の父名ばかり。
しかもこれがまた九州産馬限定戦では滅法な強さなのです。そりゃ当たり前です。
繁殖牝馬から何から何まで(九州の中では)かなり良血揃いで、値段からして他とは違いますから。
そんな資金力に勝るテイエム牧場の馬は限定戦を勝ちまくり。九州に昔からいた生産者(兼馬主の方が多い)は
大きな収入源である限定戦でまったく勝てなくなってしまったのです。
そもそも九州産馬限定戦は「九州の零細な馬産振興のため」ですからね。零細な方たちにお金が行かない。
別に竹園さんを真正面から批判しているつもりはありません。「九州からダービー馬を」の信念は素晴らしい。
ただ事実、九州の他の生産者は嫌がってます。産まれるとすぐ北海道に連れて行っちゃうもんだからなおさら。
(例えば繁殖牝馬の少しは九州の種牡馬を種付けしたり、九州の他生産者の馬を購入したり、
産まれてすぐ北海道に戻すのではなく育成まで鹿児島で行うようになれば批判も少なくなるでしょうが・・・)
テイエム牧場の参入だけが原因ではありませんが、九州の馬産を行う牧場は年々減り続けています。
テイエム勢の九州での独占が、他生産者の大きな痛手のひとつであることは間違いなさそうです。
「他生産者がもっと頑張ればいい」のかもしれませんが、今まで以上にお金をかけることなんて出来ないのですよ。
サイレントハンターダンツシアトルも種付け料10万円、しかし生産者にとってはこれ以上のお金は出せない。
そうなると10万円程度の種牡馬しか九州には持って来れないということ。種付けだけで数百万以上することもある
持ち込み馬に勝つことは容易じゃないですよ。そう考えるとマークオブディスティンクションシンウルフ
安価でかつ質が高い、九州にとってはまさに奇跡的な存在だったんだなぁと思います。)


この九州の現状を見ていると、外資が日本の生産界を圧迫する存在になってしまう可能性も大いにあるように思う。
馬主になって日本馬を購入するだけならいいですが、生産もでしょ。ダブルパンチですよ。
ダーレーはアルカセットを日本で種牡馬入りさせました。次は英セントレジャー馬・ルールオブローも導入らしい。
ルールオブロー、日本に導入 | 競馬ニュース - netkeiba.com
アルカセットは種付け料250万円でしたか。ルールオブローも大体同じくらいの金額じゃないですかね。
番組では「日本では比較的安い料金に種付けは多く集まり、他生産者は助かっている」と言っていました。
確かに助かっていると思います。日本の種付け料が高過ぎるというのも事実です。
しかし種付け料を安く出来るのは、まさにダーレーの資金力のおかげ。関口会長が序盤におっしゃってましたが、
「馬主はレース賞金では稼げない。引退後に繁殖として売ることでやっと元が取れる。」と。
そんなの超良血馬を買える関口さんクラスの馬主だけだろー、と内心ちょっと思ったのですが、
よくよく考えてみると馬主は確かにそうなのかもしれない。だからG1を勝ったりした実績馬の引退後は
どうしても高く売りたいし、そうすると種付け料も自然と高くなるということだろうか。
それでも現在のシンジケート制度や高額な種付け料に関しては問題あると思いますが……
とりあえずこの話は別なので置いときましょうか。
種付け料が安くできればコストも下がる。繁殖牝馬も日本だけでなく海外などから良血馬を持ってきますよね。
そうなると質が良くてかつ比較的安い馬を生産することができる。となると、馬主が減り続ける現在では
他の生産者の馬は売れなくなり、さらに馬主として賞金まで持って行かれるわけですか。こりゃ大変ですね。
もしダーレーだけならいいですが、ダーレーが認可されれば他の有力外資もこぞって認可を求めてくる。
数が増えれば……やっぱり脅威ですよ。今の日本にそれに対抗できるか分かりません。今は無理でしょう。


しかし永久に認めなくていいとはさすがに思っていません。
日本の競馬界が右肩下がりばかりではなくなって、回復の兆しが見えてき始めれば開放してもいいのでは。
もしくは日本の競馬が滅亡間近の危機に立たされていると言うならば。
その時まで、外国資本の皆様にはもう少し待っていただきたい。そう思う次第であります。


話は少々変わって、地方競馬とダーレーのお話。
ダーレーは現在船橋競馬にいくつかの馬を預けていますね。なかなか好調のようです。
もしJRAが本格的にダメということならば、船橋だけでなく他の地方競馬にも馬を預けてくれないだろうか。
地方競馬は今まさに「滅亡の危機」ですから、どんとこい。どこの競馬場も歓迎すると思いますよ。
しかし船橋を見ていると、ダーレーが馬を預けるにあたってはかなりハイレベルな要求もされそうです。
例えばファンサービスだったり、調教師や騎手などの関係者、組合などへのリクエストも多くなりそう。
しかしそちらの方がいいと思います。これまで地方競馬に欠けていたことが多いと思いますからね。
とにかく馬が不足がちの地方の競馬場。馬が増えれくれば良い影響も増えていくはずです。
お願いですからJRAなんかよりもっと地方競馬に目を向けてくださいダーレーさん。いや、外資の皆さん。
地方競馬の多くが心よりお待ちしております。佐賀や荒尾ももちろんね。