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佐賀競馬実況アナウンサー交代についての所感

まず交代までの経緯について公式に発表されている内容を時系列にしてみます。


2022年09月29日
さがけいば入札情報のページに突然、以下ような募集が公示される。
令和4、5年度競馬実況放送業務に係る公募型プロポーザルの参加者を募集します | 佐賀競馬(さがけいば)

1 目的
ネット購買が加速している背景から、競馬実況放送において本場来場以外で競馬を楽しんでいるお客様に対して正確かつスピーディーに情報を伝える必要性があり、そういった技術を有したアナウンサーを起用することで、佐賀競馬購買層の離脱を減らし、また新規顧客を定着させる。
(中略)
(3)履行期間
契約締結の日から令和5年3月31日まで
および令和5年4月1日から令和6年3月31日まで

2022年10月30日
新年度から「株式会社日経ラジオ社」への放送業務委託が決まる。
令和4、5年度実況放送業務に係る公募型プロポーザルの審査結果について | 佐賀競馬(さがけいば)

「令和4、5年度実況放送業務」については、令和4年10月27日(木)に実施した審査会 の結果、下記の通り最優秀提案者を決定しました。

1 業務名
  令和4、5年度実況放送業務
2 最優秀提案者
  株式会社日経ラジオ社
3 提案の評価項目
  ・業務の目的との整合性、専門知識、ノウハウ
  ・提案内容
  ・実施体制、経費見積 など

2023年1月23日
中島アナウンサーとラジオNIKKEIアナウンサーの折半実況が開始。


2023年2月9日
ラジオNIKKEIにおいて初めて佐賀競馬の実況が放送される(佐賀記念)。
佐賀競馬の中央・地方交流競走を実況でお届け!『佐賀記念実況中継』 | 無料のアプリでラジオを聴こう! | radiko news(ラジコニュース)


2023年3月26日
中島アナウンサーの佐賀競馬実況33年皆勤がストップ。4月からラジオNIKKEIアナウンサーによる実況開始。


中島英峰アナ 感謝状贈呈式を実施しました | 佐賀競馬(さがけいば)

突然の放送業務公募開始

さがけいばファンとして最初に驚いたのが「競馬実況放送業務に係る公募型プロポーザルの参加者を募集」。
公式ホームページを十数年眺めていますが今回のような募集告知は(私が知る限りでは)初めてだったからです。
中島アナの実況があまりにも日常の風景すぎて気が付かなかったのですが、一般的に考えると放送業務委託契約は毎年更新されていたんでしょうか?
いずれにせよ、初めての告示内容にびくびくしながら数か月後……。

佐賀競馬の実況が中島アナウンサーでなくなる!?」

『最優秀提案者 株式会社日経ラジオ社
10月の発表以降は「中島アナがいなくなるのではないか」という不安。
あるいはもしかしたらラジオNIKKEIはあくまで後方支援で実況の交代までは至らないのでは、というわずかな期待を抱きつつ日々は過ぎていき……。
3月末佐賀競馬公式から発表されたのは「中島英峰アナ佐賀競馬実況33年皆勤賞!」のレースと「中島英峰アナ 感謝状贈呈式」でした。

なぜ実況アナウンサーの交代が行われたのか

私が知りうる情報は公式に発表されたものだけ。ここから状況を想像するしかありません。
内部事情、中島アナウンサーの本心については全くわかりません。
公式において「中島英峰アナウンサーが実況を引退する」という発表は最後まで行われませんでした。
これまで何十年に渡って担当してきた実況アナウンサーが交代したのは何故なのか?
正直、4月以降「中島ロス」が激しすぎてレースを見る気を失っています。重賞を見ていても内心盛り上がりません。


佐賀競馬ファンの間ではここ数年「中島さんの後継者はいるの?」という話はよく囁かれていました。
中島節は知る人ぞ知る佐賀競馬の名物ではありますがベテランの域に達している中島さんの後がいない。
「公募型プロポーザルの参加者募集」公示内にはこう書かれています。

・業務を確実に遂行するために代理アナウンサーの手配など必要な要因、ノウハウ、ネットワーク等を有しているか。またそれが的確に示されているか。

エヌエスエル・ナカシマ(中島アナウンサーの会社)がプロポーザルに参加したかどうかすらも不明ですが、
日経ラジオ社が最優秀に選ばれたのは「代理アナウンサーの手配など」の条件に合致していたからなのでしょう。
緊急時に替わりのアナウンサーを用意できるのは強みです。

ラジオNIKKEIアナウンサーと地方競馬実況の相性について

新たに佐賀競馬実況を担当することになったラジオNIKKEIの実況陣について技術的な面から言えば全く心配していません。
佐賀競馬が求める業務のノウハウや代理アナウンサーの手配についても多くの実況アナウンサーを抱える日経ラジオ社なら問題ないでしょう。
ただ、「佐賀競馬購買層の離脱を減らし、また新規顧客を定着させる」という佐賀競馬が示した条件には合っていないと思います。


これは個人的な考えですが、JRAにおいては公平な実況が重要視されますが地方競馬では必ずしもそうではないです。
民間放送のアナウンサーは時に主観を込めて実況することがあります。代表例はあの名実況として知られる杉本清さんですが、裏では多くの批判に晒されていたのは杉本氏ご自身が語っている話。
ラジオNIKKEIの実況を聞いているとアナウンサーの皆さんは特に個別の馬・騎手・陣営に偏らず公平な実況をすべきものと教育されてきたのであろうというのは強く感じます。
しかし、地方競馬においてそれは非常に相性が悪い。
地方競馬は主催者によって所属が分かれ、各地区に固定のファンが存在します。インターネットで全国どこからでも馬券購入可能になってもその構図は変わりません。
他地区と地元馬の対戦となる地方全国交流、またJRA勢相手となる交流重賞ともなればファンは地元馬を熱烈に応援するもの。
アナウンサーは当然、公平に実況はしますが「地元を本気で応援しているという感情が思わず自然と滲み出てしまう実況」こそが地方競馬には必要なのです。
中島アナウンサーは佐賀競馬のファンでした。だから愛されてきました。
https://twitter.com/daikokusya/status/1640008671945170945?s=20


兵庫県競馬組合で長年レース実況を勤められギネス世界記録に認定された、地方競馬を代表する実況アナウンサー吉田勝彦さんもそうでした。
ラジオNIKKEIの皆さんがJRA実況と兼務しながらそれを行うのは難しいのではないかと思ってしまいます。

さがけいば実況のこれから

2024年 第24回JBC 佐賀競馬場・門別競馬場での開催が決定! | 佐賀競馬(さがけいば)
アタック!地方競馬|第211回|33年間皆勤の佐賀競馬実況に一区切り 中島英峰アナウンサー|NAR公式 - YouTube
佐賀県競馬組合の日経ラジオ社への放送業務委託は令和6年3月31日までとなっていますので、次年度からもしかしたら中島アナウンサーが戻って来るのではないかと期待しています。
「引退ではなく一区切り」と仰っていますし、動画でも言われているように記念すべき佐賀競馬場でのJBC初開催の場に中島さんは絶対に居てほしい。居なくてはならない。
どんな形でもいいのでJBCだけは中島節を聞きたいというのが私の希望です。
正式に放送業務へ戻ってくるためには中島兄弟社として「代理アナウンサーの用意」「後継者を育てる」意思を見せることも必要でしょう。
最初は佐賀競馬のことをまったく知らなくてもいい、長期を見据えて佐賀競馬専属実況アナウンサーを育ててほしい。
そしてそれは33年間佐賀競馬実況を務めた中島さんの意思を継げる人でなくてはならないのです。
佐賀競馬を愛し、佐賀競馬に狂ってくれる実況アナウンサーをお待ちしております。