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ホークスファームの新・本拠地に立候補続々…荒尾競馬場跡地も名乗り

福岡ソフトバンクホークス|【西日本新聞】

 募集条件は4万〜6万平方メートルの更地で、高速道路のインターチェンジから20分以内、継続して20年以上使用可能など。福岡県内に限らず、ヤフオクドームから車で約1時間以内とし、土地は賃貸契約を結び、建物は球団が建設するという。公有、私有は問わないが、土地の所在する地方自治体と交渉する。

ソフトバンクホークス雁の巣球場から撤退し新たな移転先を募集すると発表したのが8月初頭のことでした。
20年以上使用した雁ノ巣球場の老朽化だけでなく、新設した3軍もあって施設が手狭になっていたという。
新本拠地募集発表直後から数多くの自治体が続々と立候補の声をあげ、その数は今後も増えていきそうです。
福岡ソフトバンクホークス|【西日本新聞】
ソフトバンクが“ホークス市”創設計画
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/32010
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_sougou/article/32910
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2532778.article.html
http://mainichi.jp/sports/news/20130810mog00m050020000c.html
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20130813ddlk40050292000c.html
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20130810ddlk40050343000c.html
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130824/fkk13082402110000-n1.htm


各市町村が躍起になる気持ちは分かります。ホークスは地元の人気球団、上手く行けば塩漬けになっている公有地を
活用できるのみならず、地元の活性化にもつながるのでは…という願望。しかしそう簡単にいくでしょうか。
ファームがやって来るだけで経済効果が生まれるのならばJR雁ノ巣駅前は今頃活気に溢れていることでしょう。
しかし地元の方はご存知のとおり、正直なところを言えば寂れています。駅近くにあったコンビニは閉店してしまい、
見学に行くとなると電車やバスに乗る前に食べ物などを買って行かないと困ることになるんですよね。
ただ誘致するだけでは決して大きな経済効果は望めないでしょう。新設されれば一時は話題になって
見学に訪れるファンも多くいるでしょうが、球場しか見所が無ければ滞在してすぐに帰って行くだけ。
つまり、誘致する自治体にも何かしら「身を削る努力」を行わなければ思っているほどの効果は無いということです。
福岡から「移動に1時間圏内」という条件ならば福岡県民のファンはまず日帰りになるので、宿泊客は皆無。
例えば自治体が中心となり、ファーム周辺に新しい商業・娯楽向けの滞在施設などを建設することで、
ファーム来場者と施設来場者の相乗効果を呼び込み経済効果に繋がらせることは可能かもしれませんが、
それには当然資金が必要です。ただ手を拱いて誘致が成功すれば即経済発展になるはずはありませんからね。


ホークス球団としても厳しい目をもって本拠地選抜を行うことになるでしょう。

 新球場や施設等は球団が建設して運営管理する見込みで、2016年シーズンから使用予定。約4万〜6万平方メートルの造成済みか、または粗造成済みの平坦な更地、交通手段の利便性が確保できることなどが募集条件になるという。
 現在は福岡市が所有する雁の巣球場と、選手寮と室内練習場のある西戸崎合宿所を利用しているが、2011年からの三軍制導入で大所帯になっている。環境改善のためにも「どのような応募があるかによるが、一体化させた施設を作りたいと考えている。構想の中ではグラウンド、サブ、室内練習場、選手寮。クラブハウスも考えている」(高田取締役)
 そんな中、理想のビジョンとして描かれているのが“ホークス市”の創設だ。球団関係者は「一番いいのはホークスを使って町おこしをするぞ、という自治体が出てきてくれること。お互いプラスになる関係が築けるのがベスト。極端な話(市名や町名を変更して)ホークス市にしますよ、というくらいのところが出てきてくれればね」と期待を込めた。

http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/169430/

ホークスの親会社であるソフトバンクは商売に関してはかなりシビアな部分があります。負ける戦はしない印象。
今回の新本拠地の立候補を募るやり方も広告戦略の一つなのでしょう。そして多くの自治体を競わせることによって
できるだけ良い条件を引き出そうとしています。自治体側は「人気のホークス」「余ってる土地の活用」の一挙両得を
考えているだけでは誘致はままならないでしょう。ホークス側は必ず何かしらの条件を提示してくるはずです。
自治体にとってその条件は無償どころか足が出てしまう可能性もあります。


数多くの誘致合戦の中、荒尾市荒尾競馬場跡地へのファーム誘致を発表しました。隣町である大牟田市も同様です。
荒尾競馬場跡地活用へ ソフトBファーム本拠地誘致に名乗り― スポニチ Sponichi Annex ギャンブル
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_toshiken/article/31520
広い敷地があり、すぐ近くにJR荒尾駅があって来場者の利便性は上々です。
しかし「ヤフオクドームから車で1時間圏内」というのは少々微妙な気がしますね。もっとかかるでしょう。
あとは熊本県佐賀県長崎県の新規ファンの掘り起こしという点を主張したいところでしょうか。
現在跡地では場外馬券施設の『BAOO荒尾』が営業しており、元・荒尾競馬ファンを中心に売り上げは好調。
仮に誘致するとなれば既存の『BAOO荒尾』を残した上で新たな集客施設を併設し、相乗効果を狙いたいところですね。


競馬場廃止を決めた張本人でもある前畑淳治市長は意欲を見せているようですが、実は荒尾競馬場跡地には
解決しなければならない大きな問題が残されています。それは跡地がすべて公有地ではないという点です。
競馬場の中には民有地が混合しており、荒尾競馬は民有利借上料を支払ってきました。もし売却するとなれば
地権者の同意が必要となってきます。引き続き借り上げるのであれば当然のことならば借上料が必要となってきます。
多くの地権者が素直に同意すればいいのですが、果たして上手くいくでしょうか。仮に本格的な交渉となった場合、
相手がホークスとなれば売却額をふっかけたり、借上料の値上げを考えるはずです。地権者なら誰だってそうします。
売却を拒否する地権者がいたり、交渉がスムーズに行かずに時間がかかってくれば、他の立候補地が有利になります。
民有地の地権者が斑目状に配置されている状態は笠松競馬場もそうらしく、過去に色々と苦労がありました。
笠松競馬場土地訴訟問題 競馬場を廃止させたい地主vs存続させたい地主 - 座布団が行司にクリーンヒット
土地の問題が解決しない限りはファーム誘致も難しいのではないでしょうか。