ヒーローインタビューに立った時、ヌノさんは泣いていた。
「最後まであきらめるな」
それがヌノさんの言葉だった。
今日負ければ成績的にも、チームやサポーターの意識にも「終戦」の文字が浮かんでいたことだろう。
しかしこの勝利で最下位脱出、残留にクビの皮一枚繋がった形だ。
ヌノさんが我々に言いたかったこと、それは諦めないこと。残り10試合にすべてをかけて戦うこと。
得点シーンは素晴らしかった。久藤清一選手のセンタリングから布部選手が足で完璧にあわせた。
昨年までセレッソ大阪に在籍していた二人が、そのセレッソから得点したのだった。
しかもこの日は布部選手の誕生日で、自分で自分を祝うバースデー弾となった。
チームもこれが15試合ぶりの勝利。感極まったヌノさんは涙を流していた。
試合後博多の森に「ハッピーバースデイトゥーユー布さーん♪」の声が鳴り響いた。
腹痛を押して試合を見に行った甲斐があったというものだ。ヌノさんの涙にもらい泣きした私は思った。
セレッソのサポーターの一部が残って布部選手に拍手を送っていた。
今でもセレッソサポーターから愛される布部選手。この勝利がチーム浮上のきっかけになってくれれば。
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