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2011年J1開幕 アビスパ福岡の今季を展望する

アビスパ福岡 5年ぶりのJ1昇格 - 座布団が行司にクリーンヒット
昨年に一度総括しましたが、2011年J1シーズンが始まる前にもう一度自分なりにまとめてみようと思います。

天皇杯準々決勝 FC東京

Match No.82 |第90回天皇杯全日本サッカー選手権大会|大会・試合|日本サッカー協会
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jleague/2010/text/201012260002-spnavi_1.html
昨年の12月25日に熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われたFC東京との対戦。J2を3位となり5年ぶりの昇格を
決めていたアビスパ福岡にとっては今の戦力でJ1チームとどれほど戦えるか、試金石となる試合だった。

3億円vs17億円

福が来た~!5年ぶりアビスパ昇格/J2 - サッカーニュース : nikkansports.com

FC東京が抱える一番の問題は選手の去就だ。選手年俸を含むチームの年間人件費は約17億円。

http://www.zakzak.co.jp/sports/soccer/news/20101209/soc1012091601003-n1.htm

2010年度のFC東京の強化費は約17億円、アビスパはJ2でも決して高い方ではない3億円。
その選手層・戦力から見てもこの2チームのJ2降格とJ1昇格は予想されていなかった結果だっただろう。
http://www.jfa.or.jp/match/matches/2011/0101tennouhai/schedule_result/pdf/m82.pdf(注:pdf)
実際、試合内容は終始FC東京が押す形で進められた。特に個人能力に関して言えば大きな差があるように感じた。
しかし先制したのはアビスパ、解雇通告を受けていた大久保哲哉選手が右足でゴールを決める。このあたりサッカーは
何が起こるか分からない、選手能力に個人差があっても戦術次第でどうにかなる。確かに前後半通して防戦一方だった
アビスパではあったが、試合終了間際、ロスタイム3分経過時点までは1−0で勝っていたのである。
Jリーグシーズンの単なる1試合であればあのままで試合は終了し、勝ち点3を得ていたゲームだったかもしれない。
しかしFC東京もこの試合に賭ける想いは非常に熱いものがあった。J2には降格したが、「天皇杯優勝」を目標に
選手達は最後まで諦めなかった。後半途中出場の石川直宏選手の劇的なゴールで同点に持ち込むと、延長戦で
2得点と突き放す。アビスパも最後まで諦めずに丹羽のヘッドで1点差まで追いつくも最後は力尽きた。
ある意味ではあのロスタイムの同点弾で試合は決まっていたのかもしれない。篠田監督は後半立て続けに選手交代し
最後は虎の子の1点を守りきるために選手達は走りまくった。もう延長戦まで戦い抜く力は残っていなかった。
大体、後半の最後まで石川直宏を温存しておけるってどういうことだよ、と(笑)。それ程の戦力なわけですよ。
怪我気味でこういう使い方しかできないとはいえ、我々から見ればあまりにももったいない使い方。そもそも
そういう選手を雇うことができない。選手層の薄さはJ1シーズンでも悩みの種になりそうだと考えさせられた。

来る選手、去る選手

主力選手の退団

J1に昇格したとはいえ強化費が増加するわけでもなく、限りあるお金でJ1を戦っていかなければなりません。
昇格したことで選手たちの給料も上げなければなりません。本当は残ってほしかった大久保哲哉選手を泣く泣く
解雇にしたほどです。そういう意味では現有戦力を維持するということが大切だったのですが、主力の2選手が
他チームに移籍することになったのは非常に痛い。左SBの中島崇典選手が柏レイソルに、そしてチーム最多得点、
J2でも得点ランキング4位の15得点をマークした永里源気選手がヴァンフォーレ甲府に移籍してしまったのだ。
http://www.avispa.co.jp/release/news/topic1101.html#tag8
http://www.avispa.co.jp/release/news/topic1101.html#tag5
チャレンジ | 永里源気・・・no attack no chance・・・
http://www.sannichi.co.jp/local/news/2010/12/30/4.html
どちらも毎試合スタメンクラスの主軸、しかも一緒に昇格した2チームに抜かれたというのは正直ショックだった。
J1では降格争いを演じるかもしれないわけで、その点では向こうからすればいい獲得だっただろう。中島選手は
地元ということもあり心情的に分からないでもないが、永里選手の移籍は……アビスパ福岡が残留する魅力がある
チームではなかったということ、甲府の方がその点で上だったということなのだろう。チームを応援する身としては
悲しいし悔しいことだ。昨今のJリーグではチームに体力があり、よほどの選手でなければ複数年契約を結ぶことは
珍しいようだ。今回の二人も単年度の契約で、これを更新する際に他チームからオファーがあれば、どのチームと
契約することが自分自身の為になるかを考えるのは選手にとっては当然のことだろう。ただしそうなった場合に
アビスパには「チームへの愛着」という点以外で他J1チームと渡り合えるものは少ない。提示年俸の勝負ともなれば
勝てる要素は無い。アビスパのような弱小クラブにおいては特に単年度契約にしてリスクを抑えなければならないし、
選手側にとっても弱小クラブに長々と縛られるつもりもないだろう。今年降格すればJ1に個人残留する選手は恐らく
出てくるはずだ。それは仕方の無いことではあるのだが、現実をまざまざと突きつけられた感じがした。
http://www.asahi.com/sports/fb/TKY201102220149.html
http://www.47news.jp/CN/201101/CN2011011601000475.html
移籍金制度を国際基準に則ったものにするのは大切なことかもしれないが、一方でJ2チームやJ1下位チームなどは
移籍金を頼りに経営を行ってきたわけで、今後はJ1とJ2の間だけでなくJ1内でも大きな戦力格差が出てきそうだ。
選手の為になることは大事だが、選手はクラブからお金を貰っていることも事実。複数年契約を結びやすくするなど
クラブにもお金が回る仕組みを考えていかなければならない。ただでさえJリーグは拡大路線を続け、J2チームは
増えていくばかり(そろそろ打ち止めのようではあるが)。チームへの分配金もチームが増えれば当然減るのだから。
話を元に戻すが、永里選手と中島選手の移籍金ゼロによる移籍はチームへの大きな痛手となった。さらに移籍した
2選手だけでなく、引退した久藤清一さんや大久保哲哉選手などの穴も埋めなければならかった。

「補強」ではなく「埋め合わせ」

今年の新加入選手は以下の通り。
完全移籍
清水範久横浜FM戦力外通告)、小原章吾(愛媛)、成岡翔(磐田)、和田拓三(千葉を戦力外通告
レンタル
丹羽大輝G大阪:延長)、重松健太郎(F東京)、松浦拓弥(磐田)
新加入
キム・ミンジェ(韓国・中央大学)、畑本時央(浦和ユース)、牛之茺拓(福岡U-18)
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2010/12/30/16.html
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/fctokyo/news/201012/CK2010123002000080.html
同世代は次々と世界へ…“元エリート”昇格組からの挑戦― スポニチ Sponichi Annex サッカー
福岡が主将の丹羽と1年間契約延長 - サッカーニュース : nikkansports.com
磐田松浦が福岡移籍 既に正式オファー - サッカーニュース : nikkansports.com
http://www.nishinippon.co.jp/nsp/item/220876
左SB(中島の代わり)→和田拓三キム・ミンジェ
左SH(永里の代わり)→松浦拓弥
右SHなど(久藤の代わり)→清水範久
FW(大久保の代わり)→重松健太郎成岡翔
こうして見てみると確かに抜けたところに新選手はすっぽり納まったが、J2時代から戦力に上乗せがあるかといえば
かなり微妙なところである。DFのセンターラインに関しては小原章吾選手や新人の畑本時央選手などの加入で昨年より
厚くなったと言えるかもしれないが、攻撃陣は相変わらず純和製に近く外国人に頼るということもできない。
(小原選手獲得についても、来年丹羽選手がガンバに復帰する可能性が高く、その保険のような気がしないでもない)
不動のダブルボランチ(中町・末吉)にしても、どちらかが一人でも怪我なので戦線離脱すれば…目も当てられない。
要するに昨年のJ2以上に今年のJ1では新加入の選手たちが退団した選手以上の活躍をしなければならないということ。
もちろんその期待に応えてもらいたいところだが、J1残留が確実に可能だ、とはお世辞にも言うことはできない。
しかし、チームの体力を考えると補強もここらが限界なのだろう。この戦力でやっていくしかないのだ。
ただ篠田監督の意図は伝わってくるメンバーだとは思う。昨年から監督がずっと言い続けていたのが「ハードワーク」
「アグレッシブでスピーディなサッカー」の二点。新加入選手にスピードのあるドリブルタイプが多い点を見ても
この方針の継続と、さらなるレベルアップを目指してキャンプから取り組んできた。大久保選手は「ハードワーク」を
体現するようなFWだった。一試合を通じて守備に走り回り、前線のターゲットとしてチームの軸となっていた。
今年はそんな背の高いFWは吉原だけだ。ここでキーマンとなるのは、大久保選手とはタイプは違うが成岡選手だろう。
彼にはその技術力から前線でボールをキープする役目を担わされると思う。もちろん積極的に点を取りに行くだろうが
今年も二列目から裏に抜け出してのゴールというのが多くなる気がする。監督としてもねらい目はそこではないか。
何にせよ昨年よりは相手も強くなるし、簡単に点は取れない。攻撃もきつくなる。そこで天皇杯FC東京戦のような
戦い(注:ロスタイムまで)を続けていくことができるかということになってくるだろう。我慢の年になりそうだ。

今季の経営について

アビスパ福岡 5年ぶりのJ1昇格 - 座布団が行司にクリーンヒット
こちらで経営面に関しては出尽くした感はあるが、J1開幕に際し改めて感じたことがある。アビスパ福岡は貧乏だ。

チームの状況、経営理念

5年ぶりにJ1に昇格した福岡が24日、始動。低予算に苦しむなか、逆襲を誓った。赤字増大を防ぐため、昨季は監督、スタッフ、選手らの人件費を3億円程度に引き締めた。J2の平均以下で、J1トップの浦和の8分の1程度という極貧ぶり。今季もほぼ横ばいで約30人の年俸を合計しても、プロ野球ソフトバンク杉内俊哉投手の推定年俸3億5000万円に及ばない。大塚唯史社長(49)は「(人件費は)杉内ひとり分より安いけど、大物食いをしたいね」と選手のハングリー精神に期待を寄せた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/soccer/jleague/news/20110125-OHO1T00113.htm

前社長が残した負の遺産、多くの借金を返すためにJ1に昇格した今年も緊縮財政で進まなければならない。
人件費総額は昨年と変わらず3億円ちょっと。そもそも3年計画の1年目で昇格してしまったわけだから仕方がない。
「ぎりぎりの所だが」福岡3年ぶり黒字の見通し― スポニチ Sponichi Annex サッカー
本来2年目である今年が黒字に転じさせ、3年目で昇格という計画だった。経営陣は1年目で黒字化に成功している
わけだから計画以上に進んでいるとも言える。しかし経営面で満足できる状態にはまったく至っていない。
J2時代は安かったユニフォームスポンサー料もJ1昇格で高くなり、今年はまだ背中のスポンサーが決まっていないなど
もちろん頑張っているとは思うが、一度失ったアビスパというチームへの信用を回復させるのには時間がかかる。
"福岡維新"真のスタート アビスパ福岡J1昇格をかく語る(1):|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース
"福岡維新"真のスタート アビスパ福岡J1昇格をかく語る(2):|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース
"福岡維新"真のスタート アビスパ福岡J1昇格をかく語る(3):|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース
"福岡維新"真のスタート アビスパ福岡J1昇格をかく語る(4):|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース
大塚社長の考え方についてはこちらが詳しいです。過去の経営陣の批判から始まり(苦笑)、今季の目標、
レベルファイブとの連携、無料チケットばら撒きの廃止、福岡の「七社会」依存型からの決別など、内容は興味深い。
経営陣が努力する中で、サポーターが無いものねだりするわけにはいかない。無い袖は振れないのだから。

J1での戦いが厳しいのはわかっています。J2に落ちてもいいのか?言分けありません。“じゃあもっと金使っていい選手取ってこいよ”と言われてもクラブを潰すわけにはいかないのです。チーム強化=クラブ強化ではないのです。アビスパが本物になるためには、クラブ強化が必要不可欠です。
(下田功:アビスパ福岡代表取締役専務)

http://twitter.com/avi_porthos/status/22910625420152832
びんぼう

……分かっちゃいるけど、この格差。現実を見ると絶望感というか、諦めムードにもなってくるというもの。
「やい金満っ!」…J1チームの推定年俸ランキングが話題に : ドメサカブログ
規律重視、組織力で勝つ J1山形GM・中井川茂敏(上) :日本経済新聞
仙台10年度黒字も11年度大型補強で支出増 - サッカーニュース : nikkansports.com
http://203.216.208.174/beautiful/article/74
湘南を救え!地元でトト投票券寄付募る - サッカーニュース : nikkansports.com
同じ地方クラブで経営規模も似ている山形ですら人件費は5億円以上、仙台は7億円弱。同じ昇格組で残留ライバルの
甲府は昨年の時点で年間収入18億円の3割が人件費だというから5億4千万、今年はもう少し上乗せされているかも。
昨年最下位だった湘南ですら6億円程度はあった。さらに上には上がいる。こうして比較してみるとアビスパの人件費
3億円強という数字はあまりにもショボい。当然のごとく下馬評も低くなる。そりゃそうだ、これで解説や評論家の
方々がアビスパを最下位に予想しなかったら、それはそれでおかしい。中には温情で少し上にしてくれているが…。
http://supportista.jp/2011/03/news02002715.html
http://www.asahi.com/sports/fb/SEB201102230002.html#_
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00114009.html
アビスパ福岡は、継続+進化でJ1で暴れられるか【アラキヒデキ】 - ライブドアニュース
そんな降格最有力候補のアビスパであるが、対戦する相手チームからすれば「絶対に落としてはならない相手」として
常に見られるわけだ。一方でアビスパの選手たちはすべてが格上、失うものは何もない、開き直って戦っていける。
その意味では気楽に試合を行っていけるかもしれない。というかもう、これくらいしか勝っている部分はないだろう。


しかし、「何が起こるか分からない」。それがJリーグの醍醐味である。毎年のように降格候補に名を連ねた山形は
毎年のようにその予想を裏切って見せた。アビスパもこれがモチベーションになる。「今に見とけよ」という気持ち。
絶対的な戦力差を跳ね返して残留を決めるアビスパ福岡を見てみたい。まさにジャイアントキリングなシーズンに
なってくれることを望んで今年の応援を始めようと思う。今年は果たしてどんなシーズンになるだろうか。

第1節 vsアルビレックス新潟

http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2011/03/06/kiji/K20110306000373200.html
サッカーコラム J3 Plus+ 【福岡×新潟】 曹永哲が3アシストの活躍
結果的には0−3での大敗、順位も早速低位置の最下位から今シーズンが始まりました。前半こそ要所要所で締めて
しっかり守っていた感じでしたが、後半に入ってから立て続けに凡ミスでゴールを決められてしまいました。
3失点すべてが新潟の外国人トリオからのものでしたからねぇ。やっぱ外国人のテクニックすげえわ、と。しかし
どのゴールもちょっとマークを外したとかポジショニングのミスとか、そういうのなんですよね。そこが実力でも
あるわけですが、仮にこちらが点を取っていれば流れも変わっていたはず。その意味で無得点だったのが特に痛い。
見所もありました。こちらにも書かれているように新加入のキム・ミンジェが想像以上に良い選手だと分かりましたし
次に繋がる反省点も見えたことでしょう。新潟はスピードとハードワークという点ではアビスパの上位互換のような
チームで、対戦するチームが変われば相性なども違ってくるでしょう。今後色々なチームとの対戦が楽しみですね。