座布団が行司にクリーンヒット

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九州の生産牧場・養老牧場めぐり 2011

しばらく行くことができなかった九州の牧場を久しぶりに巡って参りました。
鹿児島・熊本牧場めぐり 2010初春 - 座布団が行司にクリーンヒット(前回)
本当はもっと行きたかった場所もあったのですが……最低限のところは回って来れたと思います。
ちなみに今回、鹿児島・宮崎を巡る際はこの助成を利用してみました。大隅地区を車で回るにはうってつけです。
http://www.pref.kagoshima.jp/infra/kotu/oosumi_rentacar/top.html

生産牧場編

熊本・本田土寿牧場

ブラックホークが本田牧場に
ブラックホークが熊本へ移動 | 馬産地ニュース | 競走馬のふるさと案内所
ブラックホークを訪ねて~ブリーダーズスタリオンステーション | 馬産地コラム | 競走馬のふるさと案内所
最近の九州産で大きな話題はやはりブラックホークが移動してきたことでしょう。

自身が短距離界で名を馳せた名馬であり、種牡馬としてチェレブリタクーヴェルチュールなどの重賞馬を輩出。
既に実績がありますからね。本田牧場はデュラブもそうでしたが、実績を残している種牡馬を導入するスタンス。
【2011年度の種付頭数】~ブリーダーズスタリオンステーション編(ステイゴールドなど) - 【サラブレッドセール(せり市場)=馬市】&【種牡馬】の最新情報 by馬市.com
17歳になりますが、年々減少していたとはいえ今年の種付けは27頭を数え、まだまだ種牡馬として十分やっていける
という時期に九州に来てくれたのは嬉しいと同時に驚きでした。九州産馬限定戦にも合っていると思います。
産駒はチェレブリタのように中距離をこなす馬もいますが、基本的には短距離で芝もダートもこなします。
地方ではブルーホークやアヤパンなどが走っていますし、障害でもショウリュウケンを出すなど活躍の幅は多彩。
障害といえば豪州へシャトルに出されていた時の産駒にブラックアンドベント(Black And Bent)がおり、
オーストラリアで最優秀障害馬に選出されている。そのほかオーストラリアでは芝G1に出走するような仔もいるようだ。
活躍馬に共通して見られるのは、いずれもノーザンダンサーのクロスがあるという点。それは本田さんもご存知でした。
獲得賞金上位の10位の馬たちすべて当てはまり、上記のBlack And Bentもそうです。しかし本田さんとしては、
血統が偏ってしまうのは避けたいということで、該当しない配合も行っていきたいとのこと。

(画像をクリックすると大きくなります)
左から種牡馬スターオブコジーン(現在)、3月撮影スターオブコジーン、父ケイムホーム母マヤノビジューの当歳、
ダンディコマンド母オーキードーキーの当歳、父ダンディコマンド母シルクドレスアップの当歳、
フサイチホウオー母ウインザーシャークの1歳、繁殖牝馬ドラゴンウィン、サプライズフォース、ルビーリップス、
そして本田牧場の2012年出産予定馬たちの一覧表です。スターオブコジーンは今年既にこちらで種付けをしています。
まさかこの2頭の種牡馬を熊本の地で並んで見ることになるとは思わなかったなぁ…。
スターオブコジーンが熊本・本田土寿牧場に移動 - 座布団が行司にクリーンヒット


メガスターダム種牡馬引退、ダンディコマンドが死亡
来る者いれば去る者も。残念なお知らせになってしまいますが、メガスターダム種牡馬を引退することに。
そしてダンディコマンドは亡くなってしまったそうです。ダンディコマンドには本田さんも期待されていただけに
落胆されていました。今年は種付けしているので、上の表にある仔たちがラストクロップということになります。
ダンディコマンドが熊本・本田牧場に移動 - 座布団が行司にクリーンヒット
ダンディコマンドを訪ねて~本田牧場 | 馬産地コラム | 競走馬のふるさと案内所
現役時代は高い能力に恵まれながら度々の骨折に悩まされ、それでも北九州記念を制覇。種牡馬入り後は少ない
種付け数の中、ミッキーコマンドやインタレスティングなど九州産馬の中から活躍馬を出しました。地方では
母がアラブのダンディキングなどが活躍。請われて九州に来て、これから産駒の活躍が楽しみだったのですが…。


メガスターダムは現役時代の主戦ジョッキー松永幹夫師が奔走し、故郷熊本で種牡馬入りを果たしました。
初年度産駒のフォーシーズンゴーは松永厩舎に入り、新馬戦を勝利。素晴らしいスタートを切りました。
しかしその後はなかなか結果を出すことができず、フォーシーズンゴーは引退。5年ほどの種牡馬としての生活、
十分頑張ってくれたのではないでしょうか。本田さんによればメガの産駒たちは頭が良く……言い方を変えれば
「ズル賢い」仔が多かったらしく、レース本番で本気で走らなかったんだそうです。フォーシーズンゴー
レース後は全然息がおがっておらず、調教師になりたての松永師はいつも「どうしてだ…」と嘆いていたそう(笑)。
そしてジリ脚の産駒も多くて、なかなか結果が出ませんでしたね。父自身は一生懸命走る馬だったんだけどなぁ。
現1歳のアスターレディーの仔は、むしろ前向きさがあって期待しているとのこと。楽しみにしたいですね。
大分の牧場に移ったそうですが、詳しくはまた情報が入ってくることでしょう。

熊本・村山光弘牧場

増える厩舎・放牧地と繁殖牝馬
大体1年間隔くらいで牧場めぐりをしていますが、こちらは来るたびに何かしら施設が増えているんですよね。
現在繁殖牝馬は10頭ほどに増えて、そこに仔が産まれるわけですから厩舎も放牧地も増設が必要となります。
放牧地もまだまだ広くする余地があり、村山さんはいつかは大きな坂路も作りたいとおっしゃっておられました。
コウユーヒーローやマサシなどは現在休養中だそうで、復帰は未定とのこと。待ち遠しいですね。
直前に行われたオータムセールでは1歳を購入されたそうです。ご自身が所有し地方で走らせることになりそう。


新しくやってきた繁殖牝馬は、ユメノアイリス、ロザヴィア、エリモパッションオキザリス、フェルモイなど。
特筆すべきはエリモパッションでしょう。産駒にステイヤーズS勝ち馬エリモブライアンエリモシャルマンがおり、
母はオークスエリモエクセル。よくこの馬をエクセルマネジメントが手放したな……と正直思います。
今年で19歳という高齢も理由なのでしょう。前回ローブモンタントが来た事には驚きましたが、また驚かされました。
ロザヴィアは祖母があのファンシミンという社台の超良血で、近親に重賞やG1の勝ち馬がズラリ。
フェルモイはアバンダンメントの母、つまりマッチメイト・メッサーシュミットパリスドール兄妹の祖母ですね。

(左からダノンゴーゴー、ロザヴィア、エリモパッション、父アグネスプラネット母セリーンハイネスの当歳、
 右端オキザリスのみ今年3月に撮影したもの)
ダノンゴーゴーを訪ねて~村山牧場 | 馬産地コラム | 競走馬のふるさと案内所
ダノンゴーゴーは雨上がりの泥馬場で遊んでおり、泥だらけに。きれいな時の写真は↑リンク先にあります(笑)。
今年は一部を除き繁殖のほとんどにダノンゴーゴーをつけており、村山さんのゴーゴーに対する期待が伺えます。


競馬ファンと向き合って
現在、九州の競馬界・馬産地は大きな岐路に立たされています。
荒尾競馬場の廃止が正式に決定、馬産地にも影響が出てくる可能性も。数年前から熊本では本田さんを始めとした
生産者たちが馬産地の後継者不足に危機感を抱き、若手の生産者を募って村山さんを始めいくつかの牧場が
新規に生産を始めました。そして今度は、結果を出しつつある村山さんが、競馬・馬産の為に動き始めています。
生産を止めるという牧場に、「仔は必ず買い取るから」と言って繁殖を預けたりされているそうです。
http://www.araokeiba.com/race/tokusetsu/happiness/
ファンに対しては、荒尾競馬に入厩させ、馬名を募集して命名されたハピネスウェイブ。7月のデビュー後ここまで
一走もしていませんが、実は生死の境を彷徨っていました。最初は左前足に軽い深管、気管支の病気などがあり
鹿児島大学の動物病院に入院し、手術も行いました。荒尾の安い賞金を考えれば本来なら有り得ないことでしょう。
しかし、ファンに名付けて貰った大事な馬だからと村山さんはお金のことは考えずに治療に専念させました。
その後牧場に戻って来てから原因不明の病気に。食べ物はおろか水を一滴も飲めない状態が続き、体はみるみる痩せ、
一時は危機的な状態でした。しかし、村山さんは諦めず栄養剤の注射や食べ物飲み物の与え方など試行錯誤ののち、
やっと少しずつ食が戻りはじめ、体重も増えていったそうです。そして10月下旬には荒尾競馬場に再入厩。
調教も進んでいますが、やはり病み上がりですから本調子に戻るには時間がかかるでしょう。
しかしできれば廃止となる年内までに一度は荒尾競馬場でファンの前で走らせてやりたいということで、早めの復帰。
デビュー戦は佐賀の認定新馬戦だったので荒尾ではまだ走ったことがありませんからね。
ハピネスウェイブ号がついに荒尾デビュー☆彡 | 荒尾けいば嬢報部 マネージャーの部屋
http://www2.keiba.go.jp/KeibaWeb/TodayRaceInfo/DebaTable?k_raceDate=2011%2f11%2f11&k_raceNo=6&k_babaCode=33
復帰戦は11月11日に決定。無理はさせないようにしてもらいたいです。


村山さんは馬名募集で来た568通の応募すべてに目を通し、ファンの荒尾競馬に対する想いを感じ取ったそうです。
今でも自身に辛いことがあれば読み返すことがあるそうで、それくらいファンの想いは非常に熱いものがあったと。
ファンの中には数十行に渡って書かれているほどの思いを込めて応募した馬名の数々。その一つ一つに荒尾競馬
これからも長く存続してほしいという願いが込められていました。しかしデビューしてすぐ後に荒尾競馬の廃止が発表。
荒尾の廃止は残念でならないが、ファンの為に何かやりたい、お返ししたいという思いは村山さんの中で今、
熱く燃えたぎっています。案の一つとしてお話されたのが、地方競馬一口馬主のようなものを募集して、
皆で競馬を楽しみたいという話。その為には会社を立ち上げてもいいのではないか、とまでおっしゃっていました。
新規に生産を始めてみて、地方競馬ではあるが自分で馬を所有して走らせてみると、むちゃくちゃ楽しい。
生産者として馬主に購入されその馬が活躍してくれるのは嬉しいことだが、自分で走らせる楽しみに勝るものはない。
出走レースに一喜一憂し、もしそこで認定新馬戦でも勝って中央に殴りこみができればこんなに痛快なことはない。
この気持ちをファンにも味わってほしい。生産者は強い馬を作り、馬主はその中から厳選し所有して、賞金を稼いで
生活を成り立たせて満足しているが、それらは競馬ファンの売上げで成り立っていることを忘れてはいけない。
ファンに楽しみを還元するためにも、自分が感じている競馬の楽しさを皆で共有して一緒に応援できればいいな、と。
そういう意図からの「一口馬主」の話でした。仮に経費ばかり掛かって儲けが出なくてもファンの為にやりたいと。
ホッカイドウ競馬でサポーターズクラブというのがありますが、あれをさらに発展させたものかなという印象でした。
ファンとしてもただ応援するだけでなく、小額でもお金を出す形にするで「あれは自分の馬だ」という意識が強くなり
一層応援にも熱が入るのではしょうかね。地方競馬ですし、ファンにあまり負担をかけたくないという理由から
一口数千円(1万円以内)でやれればいいな、とのことでした。本格的に実行に移すとなると、法律や経費などで
難しい面が出てくるかもしれませんが、村山さんのファンに対する考えを聞けて、私は非常に嬉しかったです。
ハピネスウェイブも、もし認定新馬戦を勝っていたら賞金全額を東日本大震災の為に寄付する予定だったそうです。
これらの発想は、自身がそれまでは全くの素人で、新規参入した生産者だからこそ出来るのではないかと思います。
ファンと同じ目線で語ることができるのでしょうね。一方で、競馬関係者の方々に対しての思いもありました。
競馬界も大きく変化し、荒尾競馬が実際に廃止になるという、昔では考えられないことが起きている。
これを逆にいい機会と考えて、古い考え方を捨て新しいことを取り入れていかなければこれから生きていけない、と。
私もまったくの同感です。競馬界には先代から続いてきた独自の「やり方」がそれぞれあるかもしれません。
これまではそれで良かったかもしれませんが、今後は新しい考え・技術を取り入れて思考を転換させていかないと、
本当に競馬全体がダメになってしまうでしょう。固定観念に囚われず柔軟に、大事なことですね。

鹿児島・協和牧場鹿児島分場

訪問が夕方になってしまい、写真は撮ったものの暗くてすべて写りが悪いためここでは割愛させていただきます。
数年ぶりに生産を再開、種牡馬キョウワスプレンダが供用開始
協和牧場さんは2005年に霧島賞を制したキングプログレスをはじめ、鹿児島分場に種牡馬をしていたアサカホマレ
産駒ドリームホマレ、キョウワダイキチの産駒ダイキチヘイローなど、コンスタントに走る馬を輩出していましたが、
経営者や牧場長の交代などがあって方針が変わり、ここ数年鹿児島分場では育成のみ行われてきました。
しかし去年あたりからまた方針転換があり、鹿児島での馬生産を再開することになったようです。今年は1歳馬がいて、
来年デビュー予定です。また、鹿児島分場に繋養されていたタバスコリエとブラックウィッチという繁殖牝馬
JBBA九州種馬場のロドリゴデトリアーノを種付けしているのですが、なぜかこの2頭は北海道の協和牧場本場に移され
そこで出産されたため北海道産になります。理由はよく分かりません(笑)。今年の当歳はちゃんと鹿児島で産まれ、
ロドリゴデトリアーノ母ムーンアウェイクなど九州種牡馬の仔もいます。またキョウワスプレンダが今年、
優駿SSから鹿児島分場に移動し、種付けを始めています。写真も撮りましたが…暗くて紹介できません。すみません。
キョウワスプレンダ | 競走馬データ - netkeiba.com
【2010年度の種付頭数】~優駿スタリオンステーション編 - 【サラブレッドセール(せり市場)=馬市】&【種牡馬】の最新情報 by馬市.com
去年は北海道で4頭に種付けしたようですね。鹿児島でも恐らくそれくらいの種付け数でしょうが、協和牧場さんは
繁殖牝馬の質が高いので少数精鋭で頑張っていけるでしょう。母キョウワホウセキの能力が産駒に伝わるといいですね。

鹿児島・JBBA九州種馬場

新しく九州にやってきたスクワートルスクワートに会って来ました。九州に久しぶりに戻ってきたダンツシアトル
サイレントハンターも元気にしていました。今年はやはりスクワートルスクワートが一番多く種付けしたようです。
九州種馬場の種牡馬は今まで2頭がデフォルトだったのが3頭になりましたからね。選択の幅は広がりました。

(左からダンツシアトルサイレントハンタースクワートルスクワート、馬名墓碑)


アラブのブルバードライジンが死亡
私が訪問した4日前に亡くなっていました。今年で24歳でしたから、年齢的にも大往生だったのでは。
現役時代は東海で活躍し41戦22勝。アラブ重賞はもちろん、サラブレッド混合の重賞・新春グランプリを制するなど
サラブレッド相手に9戦7勝と無類の強さを誇りました。種牡馬としても佐賀・中津・荒尾でアラブ重賞馬を輩出し、
九州のアラブ生産で大きな役目を果たしました。アラブ競走の衰退後2002年以降は種付けを行っておらず、
しばらくはアテ馬として、最近では功労馬扱いでした(ただし種牡馬登録自体は抹消されていなかったようで、
種付け料は一応2011年現在5万円に設定されていた)。私が九州種馬場に見学に行くと、サラブレッドの種牡馬たちが
異動で移り変わることもある中、毎回変わらず待ち構えていてくれました。サラブレッドの種牡馬たちは気性的に
荒い面があるのですが、ブルバードライジンはアラブらしく非常に大人しくて、人懐っこかったですね。

宮崎・吉野政敏牧場

種牡馬スズノミヤビオーとカミツキ

吉野ファームで繋養されている2頭の種牡馬、どちらもオーナーの意向によりここ宮崎で種牡馬入りしています。
スズノミヤビオーのオーナー阿部雅子氏は繁殖牝馬も預けており、毎年スズノの冠名の馬がデビューしています。
カミツキもオーナー泉一郎氏が種牡馬入りさせたのでしょう。昴ホースクラブ(代表・泉一郎氏)でもっとも活躍した
カミツキを種牡馬入りさせたかったのかな。父ニホンピロニールは韓国に輸出されており、唯一の後継となります。

宮崎・錦ファーム(和田保夫牧場)

久しぶりの生産馬
http://www4.atpages.jp/nishikifarm/
おはようございます!! ( 競馬 ) - 錦ファームの仲間たち - Yahoo!ブログ
当ブログでも何度か紹介したことがありますが、錦ファームは宮崎県綾町にある育成牧場。以前は和田牧場名義で
生産も行っていましたが、2001年産馬以降生産は途絶えていました。こちらに生産馬を預けることが多い村山さんの
影響もあって生産を再開されたそうです。今年の1歳はこちら、運動中の父ロドリゴデトリアーノレンゲソウ

他にもブライドムーンという牝馬が繁殖入りしており、アグネスプラネットを種付けしたそうです。

宮崎・田上勝雄牧場

九州1歳市場でJRAが購買
田上牧場生産の父ジャイアントレッカー母ビューティサツキは今年の九州1歳市場でJRAに購買され、
現在は宮崎育成牧場で育成されています。同じセリに出ていたのがミッキーボンボンやクラウンリバーの妹にあたる
アサクサデンエン母フューチャシャトルの1歳で、本当はJRAはこちらが目当てだったみたいです。
しかし当日は雷雨で外での展示ができず、狭い屋内での展示となり、雷の音にも驚いて暴れまくったそうで…。
普段は落ち着いていて暴れることはまずないんだそうですが、環境の変化で一世一代のチャンスを逃すことに。
しかし最初にJRAが目をつけていたことからも分かるようにかなりの能力を感じます。上も結果を出していますしね。
まだ買い手がついていないようなので、もし興味のある方は田上さんにご連絡を。早い者順ですよー(笑)。

(左から父アサクサデンエン母フューチャシャトルの1歳、スイフトクインとその仔・父ストーミングホームの当歳、
 ミッキーコマンドミッキーコマンドの仔・父ザールの当歳、フューチャシャトル


名牝スイフトクインは今年で繁殖を引退
アイティースワローミッキーコマンド、インタレスティングと、活躍馬を産んできたスイフトクイン。
今年で22歳となり、このストーミングホームの当歳を産んだのを最後に繁殖を引退するとのことです。
今まで本当によく頑張りましたね。田上さんも高年齢を考え、2003年以降は「産んだら1年は空胎」にして
馬を休ませることに重点を置いてやってきました。22歳でも見た感じ衰えは感じませんし、今年もしっかり
出産していますから大したものです。田上牧場のかまど馬でした。ゆっくり休んでほしいですね。
そして最後の産駒となるこのストーミングホームとの仔が大活躍してくれることを祈りましょう。

養老牧場編

ホース・トラスト

シャーベットトーントーホウレーサー、キタヤマザクラビッググラスが増えました
前回訪問した時はエイシンワシントンロードバクシンが来たばかりの頃だったと記憶しています。
その後JRA重賞、交流重賞勝ちの功労馬は4頭増えました。

(左からシャーベットトーントーホウレーサー、キタヤマザクラビッググラス
トーホウレーサービッググラスは人が近づいても完全に無視して黙々と草を食いまくておりました。
写真の撮り甲斐の無い奴らだ(笑)。シャーベットトーンはなんとか反応してこちらを向いてくれました。


30歳キタヤマザクラ
注目は今年で30歳になる古老のキタヤマザクラでしょう。さすがに年齢が年齢ですので旧・和田牧場の厩舎にいます。
廃牧場で見つけたもの - 座布団が行司にクリーンヒット
年齢で歯が弱くなっているので柔らかいものしか食べられなかったり、これまで1頭だけで生活してきたため
集団での生活に慣れていない面などはあるようですが、最近は徐々に溶け込んできているとのこと。

(名馬.jpの冊子より抜粋)
 キタヤマザクラは、北海道静内町の岡田牧場で生まれました。1983年6月11日札幌競馬場の新馬戦で勝ち、続く京都の特別レースでも連勝しました。翌年1月のシンザン記念で勝ち、同年2月のきさらぎ賞では3着でしたが、5月の京都4歳特別に勝ち、通算で16戦6勝しています。1987年には競走馬を引退し乗馬になり、米国オハイオ州生まれの陶芸家で、陶器で有名な信楽に大窯と自宅を築いているガーリー・モーラ氏の自宅裏の丘を開墾した放牧場と厩舎に繋養されていました。信楽では林道やあぜ道をよく乗馬に出かけたそうです。2009年に乗馬を引退し、2010年に滋賀県から現在飼育されている鹿児島県湧水町ホーストラストに移動し、30歳になり最近はやや背肉が落ちているものの、他の多数の引退名馬と共に元気に余生を送っています。

馬といえば牧場か競馬場にいるものだというイメージがあるため、民家に繋がれているとギョッと驚いてしまう人も
多いようですが、かつては農耕馬が民家の庭や畑の脇に繋がれているのは当たり前の光景でした。九州の個人牧場も
そんな感じのところが多いです。ガーリー・モーラ氏はアメリカ人で、米国では乗馬の文化が浸透しているため
個人宅に馬がいるのは不思議なことではありません。それにしても20年以上も個人で馬を養ってきたわけですから、
すごいものですねぇ。ガーリー・モーラ氏は今年で60歳になり、自分の体力的な問題、そしてキタヤマザクラ
健康面を考えて、もし何かあった場合に個人ではすぐに対応できない状況になるかもしれないと考え、
20年以上連れ添った家族と別れる決心をされたそうです。キタヤマザクラのことを考えての決断だったのでしょう。


増える馬と広がり続ける放牧地
私が一番最初に見学に伺った頃はまだ功労馬もハギノリアルキングスナークレイアースくらいしかおらず、
放牧地も事務所周辺の一ヶ所しか使われていなくて、全頭数も10数頭くらいしかいなかったと記憶しています。
それが年々頭数が増えると同時に放牧地も広がり、現在では80頭以上の馬が5つほどの放牧地に放されています。
とりあえず100頭が次の目標とのことですが、まだまだ放牧地候補の土地は周囲にいくつもあるのです。
多くは町有地で、個人の土地や入会地なども混在しており、なかなか借りる手続きが進んでいないとのことですが、
100頭を超えて放牧できる土地が広がっているわけですから、自然の有難さ、雄大さを感じずにはいられません。
以前は上記の和田牧場など生産牧場もあったようですが、また誰かここで生産をやらないかなとも思ったり。
そんな莫大な放牧地となり得る草原地帯もバブルの頃はゴルフ場建設計画が進み、一時整地された時期がありました。
しかしバブルは弾け、整地された土地もしっかり草が生え放牧可能な土地に戻っています。あそこも借りれたらなぁ。
地元・湧水町は本腰を入れてこの一体の観光地化を町として推進したらどうかと思う。ホース・トラストを核にして、
周辺の自然や山々、ロケーションを満喫できる栗野高原をもっと活かしてはどうだろうか。ホース・トラスト
このまま行けば「引退馬の聖地」になれる要素が多分にあると思うし、ここをコースに組み込んだ競馬ファン向けの
ツアーなんかが組まれたりすると面白そうなのに。上手くいけばいい町おこしになりそうなんですけどね。
http://www.horse-trust.jp/15kengaku/kengaku.html
話を元に戻して放牧地の話。放牧地が広くなりいくつかの場所に分かれてしまったため、移動にはホーストラストの
従業員の方が車を出してくださいます。その際に放牧地1ヶ所につき500円の見学料を徴収し、トラスト基金として
運営に役立てることになっています。「この馬が見たい」という指定がある場合は、見学前には必ず連絡を入れて、
予約をするようにしてください。トラスト基金は随時、現金書留または銀行振り込みでも受け付けています。
「トラストスポンサー」も募集されているそうですので、こちらもご参考にされてください。
http://www.horse-trust.jp/4sponsor/trust-sponsor1.html


BTC「引退名馬繋養展示事業」助成金減額の余波
BTC「引退名馬繋養展示事業」 月額助成金が1万円減 - 座布団が行司にクリーンヒット
ホーストラスト日誌 功労馬スポンサー募集!
先日もお伝えしたように、BTCの毎月の助成金が減額になってしまい、スポンサーとしてオーナーがいらっしゃる
馬たちはまだ大丈夫なのですが、助成金のみで賄われていた馬たちは1万円分の足が出てしまうため、
一口三千円の「功労馬スポンサー」が募られることに。コメント欄によればハギノリアルキングタイキブリザード
トーホウレーサーは無事に満口となり、残るエイシンワシントンもあと一口という状況のようで、ほっとしました。
http://www.horse-trust.jp/hokkaido.html
http://www.horse-trust.jp/hokkaido/kikin-h.html
功労馬のスポンサー募集 | ホーストラスト北海道ブログ ~○○○のブログ~
ホーストラスト北海道でも同様に「功労馬スポンサー」を募集されているそうなので紹介しておきます。対象馬は、
1997年エプソムCを勝ったタイキマーシャル、1999年福島記念を勝ったポートブライアンズ、2004年と2005年に
京成杯オータムハンデ連覇・2004年ダービー卿チャレンジトロフィー勝ちのマイネルモルゲンの3頭です。
あの活躍馬たちのスポンサーになれるチャンス。お財布に余裕のある方、現役時代ファンだった方、いかがですか?
ホーストラスト北海道は鹿児島のホーストラストのコンセプトに賛同された方が開場した牧場で、鹿児島とは別の方が
経営をされています。北海道では養老牧場の預託料は平均で6万ほどだそうですが、こちらは月額月額36,000円。
鹿児島の3万円が破格とはいえ、経営努力で非常に安価に抑えています。馬を預けたい、鹿児島はちょっと遠いけど
北海道なら……という方がいらっしゃったら、問い合わせてみてはいかがでしょうか。


関係者の方々の支援
ホース・トラストにあの人からの寄付金 - 座布団が行司にクリーンヒット
川村調教師がトラスト基金に入金されていることを以前紹介しましたが、それ以外にも関係者から手厚い支援が
行われているそうです。タイキブリザードを管理されていた藤沢和雄調教師からは毎年必ず大量の野菜や飼料が
届けられるんだそうです。また、美浦大竹正博調教師は競走馬の余生に深く関心を寄せられているそうで、
毎年の厩舎の勝利数×1万円をホーストラストに寄付することにしていらっしゃるのだとか。………すげえなぁ。
大竹正博の年度別成績|競馬データベース - netkeiba.com
http://www.horse-trust.jp/13kikin/kikin09.html
開業初年度の2009年には11勝したため11万円を翌年2月に入金されています。
http://www.horse-trust.jp/13kikin/kikin10.html
翌2010年は26勝に勝ち数を伸ばし、暮れの競馬が終わってすぐの12月28日に26万円をご入金。
今年は現時点で23勝ですから、去年より勝ち数は増えるのではないでしょうか。詳しくは分かりませんが、
ホーストラストの方のお話によると、大竹師には功労馬に対する並々ならぬ思いがあるとのこと。こういった方々が
中心となって、ホースマンの間で競走馬の余生にもっと関心が寄せられるようになるといいのですね。
ホーストラスト : 須田鷹雄の日常・非日常
打ち納め : 須田鷹雄の日常・非日常
http://www.horse-trust.jp/13kikin/kikin.html
須田鷹男さんも最近見学に行かれて、荒尾競馬で当てた17万円弱のうち10万円をポンと寄付されたみたいですね。
私だって…でっかい馬券当てたら……WIN5とか………いつかこれくらい寄付したったりますよ!マジで!
だから競馬の神様お願いですから私に馬券を当てさせてくださいお願いします。

鹿児島・霧島高原乗馬クラブ

コウエイトライに会って来ました
コウエイトライ | 馬・牧場・施設検索 | 競走馬のふるさと案内所
コウエイトライが霧島高原乗馬クラブにいるという情報を聞いて見学に行ってきました。
引退後は伊東牧場で乗馬にと発表されていましたが、霧島高原乗馬クラブに移動したようです。

(左端はイブキガバメント、以降はすべてコウエイトライ
まだ球節の怪我が癒えていないとのことで、水を流して冷やしていました。前に伊東牧場で会ったことがありますが
本当に大人しい馬です。牝馬でもうるさいのはいますが、この馬はとても静かで上品。障害重賞の最多勝記録を
塗り替えた牝馬はコース以外では清楚いらっしゃいます。イブキガバメントにも久しぶりの再会、元気にしてました。
コウエイトライの今後はとりあえず怪我が癒えてから考えるとのこと。まずはしっかり治してほしい。
もしかしたら乗馬競技に出たり、お客さんを乗せたりすることもあるのかなぁ。

福岡・コームツリーホースメンバーズ

マルブツトップに会って来ました
http://meiba.jp/detail.php?sn=1262
http://blog.scene.ciao.jp/?eid=720595
今回の旅行ではないのですが、以前(今年の3/30)マルブツトップを見学に行ってきた話を今頃書きます。
コームツリーホースメンバーズは乗馬クラブ兼養老牧場で、福岡県朝倉郡筑前町に2009年4月にできたばかり。
厩舎などもまだ新しかったですね。月額5万円で養老馬なども受け入れているそうです。
マルブツトップは2005年の佐賀記念を制した馬で、佐賀競馬ファンはまだ記憶に新しいのでは。
あまり他の馬と馴れ合うのは好きではない一匹狼(馬なのに)らしく、厩舎で1頭ポツンといました。


牧場の位置はここ。福岡都市圏にも近く、佐賀競馬がある鳥栖市からも近いです。


その他
カウボーイアップランチのツルマルツヨシの話
事前に電話で見学の申し込みをしていたのですが、他牧場の見学が長引いてしまい、夕方に泣く泣く断念の電話を…。
お詫びを述べつつ、電話口でツルマルツヨシの話などを伺いました。助成金カットの影響はこちらでも響いており、
今後のことを色々と考えているとのこと。例として共有馬主として一口を募集したりするなど、とのこと。
toelle.jp
toelle.jp

ツヨシが、オーナーさんご家族からの支援を断られ(苦渋の決断だったことと察します)
これからの行く末を案じているところに、話を聞きつけた厩務員のNさんから一通の封筒が送られてきました。
夕方、まだ厩舎作業中だった私は、その中身を見て涙がこぼれました。その中身は・・・
『ツヨシが、京都大章典で勝った時の副賞で頂いたメダルを換金しました。ツヨシが残してくれた唯一のものです。いつか使う時がくるだろうと大切に持っていましたが、今がその時です。ツヨシのために使ってください、』
 と書かれた手紙とともに、大金が入っていました。
私はそれをそのまま、ツヨシのところに持って行きました。
そして、ツヨシに、「お父ちゃんからだよ・・」と封筒を見せると、ツヨシはフンフンと匂いをかぎ、またえさを食べていましたが、Nさんのあの頃と変わらない温かい気持ちはきっとツヨシに伝わったと思います。
この1ヶ月に二人の父親を亡くしたツヨシ。
でも、Nさんは、これからも変わらず、ツヨシを応援してくださることと思います。
そして私も、今まで頑張ってきたツヨシに出来る限りのことをしていくつもりです。
以前、私はツヨシのネームプレートに、こんなメッセージを残しました。
       これまで抹消されてきた全ての仲間たちの代表として
              今、僕はここにいます。
                       つるまるつよし
その仲間たちの分まで、天寿を全うするのがツヨシの努めじゃないのかな・・・
ツルマルツヨシの会」を立ち上げます!!

toelle.jp
ブログを見てみると、流れが詳しく見えてきました。恐らくですが、BTC助成金の減額や鶴田オーナーの死去が重なり
鶴田氏のご家族が後を見ることができなくなってしまい、どうしようかと迷っている時に、現役時代の厩務員さんから
お手紙が届き……現在は「ツルマルツヨシの会」発足に向けて動き出しているとのことです。
競馬は文字通り馬が走りますが、馬がいるだけでは成り立ちません。競走馬には必ず多くの人間が関わってきます。
しかし競馬に携わる人間として競走馬への感謝の気持ちを忘れず、実際に行動に移せる方はそうはいないと思います。
前出の川村師や藤沢師、大竹師などもそうでしたが、一流のホースマンはこの辺の考え方も違うのかなと。
ツルマルツヨシの会」が無事に発足できるよう願っています。続報があればまたブログでも紹介しようと思います。

ニューウェーブ大崎

JBBA九州種馬場に見学に行った折、土曜日だったので佐賀競馬の場外を楽しんできました。
馬券が外れればすぐに立ち去る予定でしたが、調子よく当てていき、思わず長居してしまいました。

お昼は場内のレストランで。ニューウェーブ大崎はウナギの養殖業者が経営していることもあって「うな丼」なども
置いてありますが、気分的にチキン南蛮定食を注文。出てきたのがこちら……多っ。ぱねえ!500円でこれですよ。
他のメニューもどれも500円くらいの値段で品も豊富。これは近所に住んでたら入り浸ってたな…。
もし馬券を買わなくても、ここのレストランにランチを食べに来てもいいレベルです。お近くの方、いかがですか?

大隅横川駅

大隅横川駅 - Wikipedia
嘉例川駅 - Wikipedia
ホース・トラストへの道すがら立ち寄りました。100年以上前の姿を残し当時の建築構造を伝える重要な建造物として
国の登録有形文化財に登録されている駅舎です。ちょうどいいタイミングで普通列車が入ってきていました。
もう一つ同時期に建てられた嘉例川駅にも行きたかったのですが、時間がなくて断念。また次の機会に。