座布団が行司にクリーンヒット

九州産馬、佐賀競馬、地方競馬、アビスパ福岡を応援しています

「自ブロック優先制度」の目的とその影響

時代に逆行!?自ブロック優先制度
第129回「どうなる"地元優先出走"」 | コラム | 競馬総合サイト:keiba@nifty
地元馬最優先で出走権 東西主場で導入 - 競馬ニュース : nikkansports.com

A師(東) 地理的不利が多少は是正される。これまで関西馬は新潟に当日輸送で出走できるが、関東馬が当日輸送で小倉へ行くことは考え難く、平等とは呼べない面があった。そういう意味で好ましいのでは。

パーフェクトホースマンズ・山田要一のブログ 新潟で関西馬が強い理由の一つは
予想できたことですが栗東の調教師からは反対、美浦の調教師からは賛成の声が多い感じがしますね。
実際に美浦の調教師の間から、関西馬が下位条件にまで遠征してくるのは控えてほしいという要望があったそうだ。
美浦栗東よりも輸送面で地理的不利があり、平等ではなかったためそれが是正されるという意見もあるようだ。
美浦栗東の能力格差は一向に縮まる気配はなく、そういう意味でこの制度も個人的には致し方ないかと思う。
あくまで自ブロックを優先させるという建前であるならば、そこまで極端な美浦優遇措置とも思えないからだ。
ブロック制の真実… | 西山牧場オーナーの(笑)気分

15年くらい前からこの話は美浦の調教師から出ていた。
関西馬は平場まで出張して来るのは控えて欲しい。』
何故、美浦の調教師が言い出したか?
それは、例えば中山で新馬3着。次に未勝利で2着。
調教師は馬主に「メンバー的にも次は勝ち上がれると思います。」と報告をする。
そして、予定のレースに登録をして競馬新聞を見ると
知らない関西馬が馬柱にいて◎◎◎◎
結果として頭を関西馬に持っていかれる。するとどうなるか?
関東の馬主が、美浦の調教師から離れていくことになる。
「あそこに預託したのでは、勝てない」
そうして、美浦では調教師の廃業が相次ぐことになる。

西山氏はもっともそうに書いているが、結局馬が強ければ印も関東馬関西馬も無関係に勝てると思うのだが…。
西山氏はつまり美浦に馬が入らなくなってきたことが問題になっていると言いたいことは分かる。
また、成績不振厩舎の人気厩舎への馬房貸しが出来なくなったことなども経営不振に拍車をかけていると書かれている。
しかし現在のような状況になった根本の問題を排除しない限りは格差はなくならないだろう。
最近よく言及されているのは、美浦栗東の厩務員制度の違い、具体的には持ち乗り制度など。
そしてそれらを栗東と同じようにしようとしても、美浦労働組合の影響力が強すぎてなかなか改善されないという噂。
抜本的な改革がなければ今回の地元優先のような策も、その場しのぎにしかならない気がする。


このように記事などを見て新制度はJRAがこの東西格差を鑑みてのことが大きな理由なのかと思っていたが、
JRAの最大の目的としてはもっと違うところにあるのだという。それが「輸送費の経費削減」だ。

昨年、JRAが負担した全場の輸送費は約50億円。経費削減のメリットが見込める一方で、現場からは賛否両論さまざまな声が上がる。

http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20120907-1012842.html

関東・関西の主場開催、2(3)歳平地未勝利、3(4)歳以上500万円以下において、地元馬(自ブロック所属馬)の出走を優先する。JRAは輸送費などの経費を削ることを目的にしたもので、東西の格差是正の観点はないと明言しているが、現実的には関東馬の出走数・勝ち鞍の増加が見込める。試算では約1億円の節減が見込まれるとのこと。

http://www.keibabook.co.jp/homepage/freeweekinfo/yomimono/hensyuininfo.aspx?subsystem=0&kind=0079

牧場からトレーニングセンターなどへの輸送は馬主負担だが、トレセンから各競馬場への輸送費はJRAが負担している。
自ブロック優先制を開始することで約50億円の輸送費の一部を経費削減しようというのだ。
さらにはニュース記事に記述は見つけられなかったが、こんな話もある。

スポーツ新聞などでは、出走制限の話ばかりが伝わっているが、競馬出走時に関わる輸送費も出走制限場へ遠征するときは、JRAが負担しない方向だという。
説明するまでもなく、競馬出走時の輸送費はJRAが負担している。開催を行なっているのだから当然だ。しかし、出走制限に引っ掛かる未勝利、500万下条件では、仮に出走できたとしても輸送費はJRAが持たないというのだから、これはおかしな話。
ちなみに輸送費は10万円前後。個人馬主はよほどのことがない限り、出走を嫌うだろう。

http://ameblo.jp/messerschmitt-bf109v/day-20120209.html

新聞によりますと〜
今秋から東京・中山・京都・阪神での3歳未勝利と3歳以上500万下で
関西馬は東京・中山関東馬は京都・阪神で出走不可とするそうすね
フルゲートに満たないと出走可能となるようですが
従来はJRA負担の輸送費が自費となるんで実際はほとんどなくなるだろうと…

http://ameblo.jp/kite-kite/day-20120208.html

フルゲートに満たない場合は今まで通り他ブロックへも遠征可能だが、その場合の輸送費はJRAが負担しないという。
フルゲート割れレースへの遠征はこの制度のルール内であり、輸送費のJRA負担は大原則のはずなのにだ。
JRAはドサクサに紛れてとにかく何でもカットしようとしてようにしか見えない。そもそも輸送費削減が目的なら、
自ブロック優先しなくとも、「下位条件馬の他ブロック競馬場への輸送費は自己負担に」とすればいいだけのはずだ。
余裕のある馬主や、勝つ見込みの高い馬ならそれでも遠征はする。しかし当然馬主から反発も大きいだろう。
そこで「自ブロック優先」と絡めることでJRAは輸送費削減の批判の矛先を逸らそうとしたのではないか。
美浦調教師からの要望が、渡りに船とばかりに利用されただけのような気がする。結局馬主の負担が増えただけだ。
西山氏などは賛成の意向を示しているようだが、この輸送費負担についてはどう思われているのだろうか。
美浦に恩恵をもたらすように見えて、一方では中小馬主になるほど負荷が大きくなると思うのだが…。


この「自ブロック優先制度」で早速現場にも影響が出てきているようだ。

日曜(16日)は秋華賞トライアルのローズSが行われるが、今開催から自ブロック優先制度が導入されたことで栗東滞在の関東馬に異変が起きている。これまで未勝利馬を帯同させるケースが圧倒的に多かったが、この制度では新馬か1000万下以上でないと出走が制限されるため、ハナズゴール、ラスヴェンチュラスの両陣営は、1頭で入厩してきた。
 馬はもともと集団で行動する習性を持つ。広い出張厩舎内で2頭だけではいかにも寂しそうだったが、12日に待望の“援軍”ハナズタイガー(牡2・加藤和)が合流して雰囲気がガラッと変わった。
 ハナズゴールの松田助手は「ウチの厩舎は高額条件の馬が少ないのでこっちでも使える新馬を連れてきてもらった。馬房の隣にいるのといないのとでは全然違います。エリザベス女王杯までいる予定なので心強いですね」。
 ただ、G?シーズン直前というのに関東滞在馬はこの3頭だけ。秋華賞の有力候補アイムユアーズ、パララサルーは美浦からの直前輸送で臨む予定とのこと。新制度導入で“栗東留学”というフレーズを目にする機会が減るかもしれない。

http://www.tokyo-sports.co.jp/race/horse/38841/

新制度が今後どれほど競馬に影響を及ぼしていくのかは経過を見守っていくしかないが、
現在JRAがコストカットと銘打って何でも経費削減したがっていることだけは本当によくわかる話だった。


この輸送費削減、実はローカル競馬開催短縮とも大きく関わってくる。
来年度はさらにローカル開催削減か? - 座布団が行司にクリーンヒット
JRAは中央開催を増やして売上げを伸ばそうとしているようだが、同時にローカル開催を削減することで、
輸送が遠距離となるローカル競馬場への輸送費をも削減しようとしているように見える。
大体、夏の時期に売上げが減るのは当たり前のことなのだ。有力馬陣営が夏の暑い時期に馬が消耗するのを恐れて
長期休養に出すのは恒例になっており、それは仕方が無い。レース番組にもメリハリが無いといけないから、
夏の間に大レースが行われないのもいいだろう。大レースが開催されなければ当然売上げも伸びはしない。
それらを前提の上で、売上げの少ない時期だからこそローカル開催を行い競馬の裾野を広げるのだ。
大きな売上げは秋から暮れ、そして春のクラシック戦線に任せて、夏は正直売上げ減には目を瞑って、
未来の競馬振興のためにローカル開催で様々な企画やレースを行っていくのが理想の姿ではないだろうか。
同じ競馬場で開催が続いてはマンネリになってしまう。JRAは目の前の利益を追って、将来性が見えていないのでは。