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佐賀競馬で「必ず儲かる馬券の買い方」が存在していたことが判明

タイトルだけ見れば怪しげな予想サイトの広告文句のようですが違います。科学的に証明されたのです。
神戸大学経済学部准教授でミクロ経済学・理論分析方面で研究されている芦谷政浩さんが
地方競馬に関する面白い論文を掲載されているのを発見したので紹介します。その名も・・・

佐賀競馬における裁定機会の出現頻度」

というもの。それがこちらです(注:PDFファイル)。
Discussion Paper 2013年発行|神戸大学大学院経済学研究科 神戸大学経済学部
http://www.econ.kobe-u.ac.jp/activity/publication/dp/pdf/2013/1302.pdf

裁定取引(さいていとりひき、アービトラージ, Arbitrage)とは、
金利差や価格差を利用して売買し利鞘(りざや)を稼ぐ取引のこと。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%81%E5%AE%9A%E5%8F%96%E5%BC%95

私は経済学を学んだことも無い人間なので非常に拙い説明になりますがご勘弁ください。
商売の基本とも言えるかもしれない「裁定取引」ですがチャンス(機会)がそう転がっているはずはありません。
裁定機会があればみんな飛びつくのでので徐々に価格差はなくなり、公正な市場価格になっていきます。
公営ギャンブルはただでさえ25%の控除率が存在するので、機会はそうそう存在しないと思われてきました。


しかし芦谷さんは
「各馬について一番割安な方法で単勝馬券を合成し、1着・2着・3着の着順が
 どうなったとしても払戻金総額が勝馬投票券の購入費用を上回るように勝馬投票券を買う」
ことが可能であることを証明したという。業界用語では「Lock」というらしいが、ギャンブルの盛んな外国では
この手の研究はかなり昔から行われてきました。簡単に言えば「馬券必勝法」が数値計算により判明したと。


本当ならすごくないですかこれ?
芦谷さんは去年にも荒尾競馬のデータでこれを証明していますが、「荒尾だけに限った傾向ではないか」
という声があったために他地方競馬場、今回は佐賀競馬場においても裁定機会が存在することを明らかにしたようだ。
荒尾や佐賀が選ばれたのは「出走頭数が7頭以下のレース」という母数が少なく計算しやすいレースが
多かったからでは。「7頭以下」にしたのは枠連が発売されておらず、比較する賭式が少なくなるからかな。
研究結果にの中身を見て行くと専門用語や難しい数式が並んでいるので門外漢の私にとってはちんぷんかんぷんですが
(数式で証明可能というのも凄いのだが…)実際に馬券購入した例を表として現されると、これが分かりやすい。


表4を例にすると、
・全出走馬7頭のうち、1・4・5・6・7番の単勝をオッズに応じて買う(2番と3番以外の単勝を買う)

  • 高いオッズの馬には安い額、低いオッズの馬には高額賭ける

・次に、↑の単勝には含まれない2番と3番の馬単を総流しで買う

  • こちらもやはり、高いオッズは1票程度に留め、低いオッズは多く買う

オッズによって金額を調整し収支がプラスになるよう馬券を購入する…言うなれば、
「ガミらないように買う=裁定取引成立」
収支がプラスとなる最低投資額が13,100円(131票)ということになるのだろう。
表4において連単3→6を9票購入した時の13,590円が最も安い払戻額で、最低でも490円は儲かることに。


表4のレースにおいては13,100円賭ければどの馬がどんな順番で入線しようともガミらないように
馬券を購入することが可能、ということかな。同様に表5でも単勝馬単、表6となると馬連複も含まれてくる。
このようなレースが出走頭数7頭以下134レースのうち、3レース含まれていたというのだ。
この3レースが裁定取引の出現であり、頻度としては2.24%程度ということになるか。


……論文や数式だけを見ると難しく感じますが、これって普段から我々も頭の中で考えながらやってることですよね。
「ガミらないように買う」と。さすがに全ての馬が来ることまで考慮に入れることは少ないですが、ある程度
「まず来ない馬」は除外して、それ以外の馬がどんな順番で入着しても儲かるように組み合わせて馬券を買う。
これに5重勝・7重勝を組み合わせても面白いかもしれません。これも私はよくやってる手で、重勝となると
どうしても賭け金が高くなってしまうので、悩んだ挙句に切った馬を頭軸にした馬単などの馬券を買っています。
重勝はキャリーオーバーも存在するので計算が難しいかな? しかし裁定機会はさらに増加するような気がします。


この機会が存在するのはまさにオッズの妙。票数の少ない単複と、かなり票数の多くなる馬単のオッズの歪み。
例となった3レースの中で賭式が単勝馬単ばかりなのも頷ける気がします。これが控除率があるにも関わらず、
存在が証明されたというのは確かにすごいこと。しかしこれを馬券法に活かすのはなかなか難しい。
どのレースが裁定機会なのか判別しなければならないからだ。また、今回のデータはガミらないようにするための
最低投資額分しか証明されていないが、票数が増えるとどうか。131票が倍の262票になっても裁定取引可能なのか?
オッズがそのままならば賭ける額数を増やすだけで大儲け可能だろうが、購入額が増えるほどオッズも変動する。
今回のは13,100円購入して最低でも490円ほどの儲けだが、それ以上が可能となるのだろうか?


データを数値化してプログラムに組み込み、該当レースを導き出すソフトを開発できれば可能かもしれない。
もちろんオッズ変動も見越して、いくら賭ければいくら儲かるとレース前に分かることさえできれば
まさに「馬券必勝法」の完成と言えるのではないだろうか。オッズ変動の計算はかなり難しそうではあるが…。


馬券利益約1億4000万円なのに…約6億9000万円を追徴課税 - 座布団が行司にクリーンヒット
現在馬券の払戻金で所得税法違反の裁判になっている男性や、それ以前に海外逃亡した会社社長のソフトというのも
意外とこれに近いプログラムだったのではないだろうか。通常の馬券法ではなく、確率論の計算に基づいた方法。
JRAともなると出走頭数が増え、票数も多いので傾向は違うだろうが。また投資金額も多くなければ難しそうだ。
最低で13,100円程度にはなりそうにない。例の男性が利益以上に経費がかかっているのを見ても分かる。


これらの方法は見てる分には面白いが、実際に馬券購入に役立てるまでに昇華するのはかなり難しそうだ。
本当に頭の良い人なら可能かもしれないが、我々としては現実的に日々データと格闘し毎日オッズとにらめっこして
「おいしいそうな」オッズを見つけ、それに賭けるしかないのかなぁと思う。


関連:
http://www.abef.jp/event/20121208/pdf/session/S9_2.pdf(注:pdf)