http://mainichi.jp/area/oita/news/20130310ddlk44060310000c.html
この人のことを語る時は九州競馬ファン、地方競馬ファンとしてはどうしても批判的になります。
中津競馬の廃止を断行し、後に競馬場廃止ラッシュが巻き起こるきっかけになったわけですから…。
中津競馬関係者から怨嗟の声が満ち溢れ、後の廃止競馬場にも影響を与えたその手法を振り返ります。
(元記事は週刊現代)
◆許されぬ先例 ルール無視の補償ゼロ
現在、ホッカイドウ競馬、高知競馬などで 競馬廃止が盛んに議論されている。 ホッカイドウ競馬の累積赤字は130億円にも上る。 それでも競馬を廃止できない大きな理由は補償問題だ。 競馬場を廃止すれば、 馬主、調教師、厩務員、騎手などに多額の補償を支払わねばならない。 74年の大阪府・春木競馬場は62億円、 88年の紀三井寺競馬場は25億円の補償が廃止に伴って行われている。 ところが、今回の中津競馬場の場合、 市長は「法的雇用関係」がないことを理由に一切の補償を拒絶している。 中津競馬場の厩舎関係者は150人。その家族を含め400人が 収入を失い、 これまで生活していた厩舎団地からも立ち退きを迫られることになる。 文字どおり路頭に迷うのだ。 一方的な通告だけで 競馬場を即時廃止し、補償も行わない中津市の対応。 こんな乱暴な手法がまかり通れば、 行政側は好き勝手に競馬場など潰すことはできる。 市長のやっていることは 民主主義の手続きを無視した無責任行政にすぎない。 こんな先例を許してはならないはずだ。
◆中津市の違法性を明らかにせよ
http://72148708.at.webry.info/200912/article_10.html
中津競馬もかつては49億円もの黒字を市に計上していた。 だが、放漫な競馬運営を続けてきた中津市は、 この時の収益を新たな経営投資にも内部留保にも使うことはなかった。 赤字が続けば廃止も行政の選択肢として タブーではないと思う。 だが、その場合は行政側の経営責任を明らかにすること、 関係者への適正な補償、改革と議論を重ねた上での決定という 透明性の保たれたプロセス が必要条件であるはずだ。 今回の中津市の行動はいずれも条件に相反するものばかり。 もし、きちんとした過程を経ていれば、 所属馬の多くも引き取り先を探すことができただろうし、 関係者も新たな職についていたかもしれない。 これほど多くの馬たちも早すぎる最期を迎えずに済んだはずだ。 中津競馬場では今も関係者が補償を求めてデモや署名活動を続け、 訴訟も準備しているという。 中津市長の取った行動の違法性が明らかにされなければ、 現役生活半ばにして殺されていった馬たちも浮かばれることはないだろう。 このまま中津を忘れ去るわけにはいかない。
以下は『中津競馬物語』を監修した大月隆寛氏のツイートとブログより。
(´・ω・`)「全国三十ヶ所の地方競馬のほとんどが赤字に苦しみながら廃止できないでいるのは、関係者に対する補償の財源が見つからないからです。補償なんかしなくていい、というこの中津=鈴木一郎方式の『廃止』がまかり通れば、じゃあうちも、と手をあげる主催者が次々と出てきかねない。」
https://twitter.com/kingbiscuitSIU/status/310967673997651968
で、結果的にまかり通しちまったんですよね。
king-biscuit on Twitter: "で、結果的にまかり通しちまったんですよね。"
棄てられる競馬場 - king-biscuit WORKS
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大揺れの中津競馬 - king-biscuit WORKS
中津問題、その後 - king-biscuit WORKS
中津競馬場の跡地 ( 競馬 ) - Life goes on - Yahoo!ブログ
2001年2月に何の前触れも無く突然「6月に廃止」と発表した鈴木市長。関係者にとっては寝耳に水の事態でした。
さらに驚くべきことに鈴木市長は「一切の補償はしない」との立場を取り、これには当然関係者らは反発。
それまで中津には労働組合など無かったのですが、厩務員会を労組化して連合加盟、法的に補償金を求めます。
市側は「受けて立つ」と完全対立、その後の補償問題は裁判所での法廷闘争へと移っていきます。
見舞金は最終的に関係者225人に約2億7000万円、一人あたま120万円程度。当初労働組合が求めていた補償金の
5割にも満たない額だったといいます。さらに馬主会(当時の会長は「ゼンノ」の故・大迫忍会長)の中から
馬主46人が中津市などに約6億7150万円の損倍賠償を求める提訴をしますが、和解金は2100万円。
当初は「一切の補償はしない」ということでしたが、関係者が走り回ったことでやっとの補償額でした。
ここに至るまでは当然多くの金額と労力が費やされており、実質手元に残った額はどれだけだったでしょうか。
春木競馬場は62億円、紀三井寺競馬場は25億円の補償。それに比べて中津は3億円にも満たないとは…。
中津競馬場の関係者数や経営規模からしても、あまりにも小額に抑えられてしまった補償額でした。
この判例による補償金が悪例として残り、後に競馬場が廃止された際に影響したと言われています。
http://www.kochinews.co.jp/rensai03/keiba38.htm
跡地には「補償金を払う余裕もない」はずの中津市から、中津競馬累積赤字21億円の倍にあたる
40億円規模もの整備予算が出され、『ダイハツ九州アリーナ』を中核とする大貞総合運動公園となっています。
黒字経営を続けていた頃には50億円近くも市の財政に寄与してきました。戦後すぐからですから、
今のお金の価値に換算すればもっと大きいなものだと考えられます。しかし中津市は内部留保もせず、
施設・建物の老朽化への対策もしないまま使い放題で放漫経営を行ってきました。その結果が累積赤字ですが、
仮にそれで廃止になるとしても、その責任は市が取らなければならないでしょう。しかしそれを打ち捨てたのです。
競馬に携わる人間からすれば恨み以外の感情は存在しないかもしれない鈴木一郎市長の中津競馬廃止の断行。
しかし実際にそこに住んでいる中津市民にとってはどう評価されているのでしょうか。
鈴木市長は4期16年も任期を務めあげ、ダイハツ九州を誘致したことからも評価の声があります。
一つの見方からすれば「廃止に成功した名市長」なのかもしれません。しかしこれらの功績はあくまで
中津競馬関係者の多大なる犠牲の上にあるということを、どうか中津市民の皆さんも忘れないでほしい。
公営ギャンブルとなるとどうしても悪いイメージがあり、赤字ともなると厳しい目で見られます。
しかし例えばスポーツチームなどが赤字を市民税で補填している例などは全国にいくらでもあります。
経済効果という点に注目すれば競馬場もスポーツ等も一緒です。また、競馬場跡地には公園やスポーツ施設などが
計画される例が多々ありますが、多額の予算でそれを建設しても市町村の体質が変わっていなければ
結局は後々赤字を垂れ流す施設として批判されることになります。跡地利用については
各地方自治体や政治家などは「跡地に○○を誘致」などとすぐ甘いことを言い出しますが、
その実現性や将来性などを深く鑑みて自治体を評価し、判断してほしいと願っています。