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なぜ日本から海外に遠征する馬は前哨戦を使わないのか

ガラスの競馬場: 海外のステップレースを使う意義
ガラスの競馬場: 海外のステップレースを使う意義(続き)
オリビエ・ペリエ騎手「凱旋門賞は前哨戦(フォワ賞)使わないと勝てないよ」 - 座布団が行司にクリーンヒット
海外の大きなレースを目指す際、前哨戦を使うことは大きな意味がある。もはや説明するまでもないとは思うが、
要するに環境の変化に順応させるためでもあるし、「一叩き」することで調整しやすくなるというのもある。
あるいは「使う必要が無いから」という人もいる。『サラブレ』8月号で平松さとし氏は「休み明けの馬を仕上げる
技術や施設という面ではまず間違いなく日本は世界の最先端」と言い、前哨戦を使わなくてもベストの状態に
持っていける日本の調教技術があるからだとした。その技術に関しては否定するつもりはないが、実際のところ
それであまり結果が出ていないところを見ると、やはり前哨戦を使う必要性を感じずにはいられない。


ではなぜ日本の陣営は前哨戦を使おうとしないのか。ここにはどうやら検疫の問題があるように思う。
http://www.maff-aqs.go.jp/topix/H19.4.18ensei.pdf(pdf)
サラブネット
日本の検疫の長さは以前から指摘されていて、端的に言えば長すぎると。丁寧にやっているということだろうが
この検疫の長さが日本馬の海外遠征及び日本への外国馬の遠征が控えられる結果になっているのかもしれない。
具体的に言うと、
・遠征先が一ヶ国のみ
・遠征期間が60日以内
他にも日本と協定を結んでいる国しかダメだとか細かにはいくつかあるが、一番の懸念材料は上記二つだと思う。
この条件内であれば簡易な検疫で済むが、逸脱すると検疫期間がかなり長くなってしまうようだ。
60日あれば何とか前哨戦を使って本番を迎えられるようにも思うがそう簡単には行かない。ちょうどいい日程で
前哨戦が存在するとも限らないし、仮にいいトライアルがあったとしても使う前にある程度の調整は必要だろうし、
中間で事故が起こらないとも限らない。何かあればそこで遠征は中止となり即座に帰国しなければならないという
事態に陥る可能性もある。ある程度は期間に余裕を残して調整する必要があるだろう。
結論から言えば、60日間を超えて滞在さえすればいい。検疫期間は長くなるが大目標である本番を制すためには
仕方が無い。凱旋門賞に遠征した日本馬で唯一勝利に肉薄したエルコンドルパサーの遠征期間は半年にも及んだ。
それくらいの期間は必要なのだ。しかし最近の海外に遠征しようとする馬の陣営には60日間を超えて滞在させる気は
まったく無いようだ。要するに遠征から戻って来たら、日本のレースにすぐにでも出走したいからなのだろう。
60日以内なら検疫が短くローテを崩さずに続けて日本の大レースに出走できるが、長期滞在するとそれができない。
二兎追うものは一兎をも得ずとはよく言ったもので、長期滞在も已む無しと本番に向けて専念しなければなかなか
世界的大レースに勝つことはできないのだろう。日本の検疫体制にはさらなる改善は必要かもしれないが、
どちらかといえば馬主や陣営のやる気の問題のような気もする。