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2013年度開催の主な変更点 日本ダービー賞金増額に意味はあるのか

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JRAのコストカットと大レース賞金増額の矛盾 - 座布団が行司にクリーンヒット

「数字的な夢はあるけど、実際はそう甘くない。そこに予算を振り分けるなら一般戦の賞金を上げてほしかった」とは美浦の某調教師。「個人馬主がどんどん減っているのは、大半の馬が下級条件という現実があるため。大舞台の一発勝負でなく、そこに至るまでの地味な戦いに馬主を継続するか否かのカギが潜んでいる。ひと握りの馬主に厚くするのがJRAの方針なのかねぇ」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121117-00000309-tospoweb-horse

日本ダービーなど一部G1レース賞金だけは増額。これも書き尽くした感がありますが、金の使い方が間違ってる。
2歳から3歳クラシック戦線が「社台の運動会」と揶揄される昨今、これではごく一部の馬主しか喜ばない。
今一番必要なのは個人・中小馬主が活性化する施策だと思うのです。

◆馬主登録の条件の見直し 経済状況や馬主数の減少を考慮して、所得(個人馬主1800万円→1700万円)、資産(個人馬主9000万円→7500万円)の基準を現行から引き下げる。また、所得と資産の相互換算を可能とする。現行は所得、資産いずれもクリアしなければ審査に通らなかったが、来年からどちらかをクリアすれば審査を通るケースも出てくる。シニア層や若年層を想定したもの。

http://race.sanspo.com/keiba/news/20121117/etc12111705030000-n2.html

敷居を低くしても継続できなければ意味がありません。これも焼け石に水的なやり方で、根本が解決されていない。
JRAが下位賞金・各種手当てや奨励金が年々減額したことにより、中小馬主が馬を持ち続けられなくなっています。
「馬主は娯楽」と言われるものの、娯楽を続けるにもある程度は見返りが必要でしょう。
下級条件戦や障害競走などの賞金、事故見舞金、競走協力金など、ファンの目には見えにくい地味なところは
「売上げが減っているから予算削減だ」とガリガリ削る一方で、G1や「○○シリーズ」と銘打ったシリーズ戦は
新設され、ダービーなどの目立った競走だけ賞金を加算するというのは…。JRAとしては賞金額増でアピールして
馬券を買ってもらいたいのかもしれませんが、上げすぎると今度下げる時はなかなか難しいことになります。
個人的に思い切って下げていいと思うんですけどね。G1賞金を下げてでも下位賞金や手当てに充てるべきです。
売上げが伸び悩んでいるのであれば、その時代に合った適正な賞金額であるべきでしょう。
それをわざわざ背伸びして賞金を増額する必要はありません。今はむしろ下位賞金などを増やして
既存の馬主が不景気な時期でも、出来るだけ馬主を続けられるようにすることではないでしょうか。


現在JRAで起きている問題も、これでいくつかは解消されるように思います。特に調教師・騎手の格差問題。
成績の良い調教師や騎手にいい馬が多く巡ってくるのは当然のことです。それこそ優勝劣敗の原則。
一方で預託数にも限界があるので、中小馬主は自然と下位成績の厩舎に馬を預けることになります。
騎手もそうです。成績の良い馬を持つ馬主はトップジョッキーを確保できますが、中小馬主はそうはいきません。
それでも弱小の馬主・調教師・騎手の中から名馬が生まれ、人馬は名コンビとなり、物語が生まれてくるのです。
昭和の名物的、個性的な馬主さんの多くは「大」馬主ではありませんでした。頭数はそこまで持っていなくても、
アクの強い個人馬主の方々から沢山の面白い逸話が産み出されて来ました。今も昔も競馬ファン判官贔屓
名門牧場で生まれた良血の強い馬がただ勝ち上がるのを見るより、逆境的なストーリーを好むものです。
そういった裾野を広げるべきJRAが、今は独占状態を加速させるような方針に傾いています。
中小馬主への待遇を良くすることでその効果は生産界にも波及するでしょう。個人馬主はマイナーな血統でも
思い入れでその血統の馬ばかりを所有される方は多くいます。ゴールドシップの小林オーナーもそうでした。
ゴールドシップの馬主・小林英一氏 ばんえい帯広競馬場に1000万円寄付 - 座布団が行司にクリーンヒット
小林氏の存在が無ければ「星旗」の牝系は伸びていなかったし、ゴールドシップは産まれていなかった。
また、中小馬主は中小生産者の購買層にもあたります。馬主と生産者は密接に繋がっていますから。


華々しいG1レースは確かに必要です。馬主や関係者の多くがその頂点を目指し、切磋琢磨していく。
しかし現状は格差が広がり過ぎて、多くの馬主が馬主を続けても意味が無いという状態になりつつあります。
G1という「花」「果実」は大事ですが、それを支えているのは地味な葉や、巨大な幹や根、そして土壌です。
そこをしっかりと管理していなければ、いつか根腐れして競馬という「木」自体が倒れてしまいます。
それを管理しているのがJRAであり、責任は実に重大です。地方競馬を含め競馬界全体の将来がかかっています。


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