座布団が行司にクリーンヒット

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九州トレーニングセール2014が佐賀競馬場で行われました

http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2663872.article.html
http://www.asahi.com/articles/ASG4H5590G4HTTHB00B.html
【九州トレーニングセール2014(2歳)】が開催!(最高額馬はスクワートルスクワート産駒) - 【サラブレッドセール(せり市場)=馬市】&【種牡馬】の最新情報 by馬市.com

今年度は比較的交通の便の良い佐賀競馬場で開催(昨年まではJRA宮崎育成牧場)され、公開調教では上場馬全頭に佐賀競馬所属のジョッキーが騎乗、また、昼時間には地元出身で桜花賞ハープスターで制した川田将雅騎手のトークショーやサイン会が行われるなど、例年以上に工夫される中での実施となりました。 購買者からは「佐賀競馬場は足を運びやすいので来てみました」と歓迎するコメントが多く聞かれ、実際に購買登録数は50名(昨年は18名)と大幅に増加しました。

初めての佐賀競馬場での開催ということで生産者や関係者の方々としては不安な点も多くあったようですが、
蓋を開けてみれば購買登録者数は大幅に増加し、例年の平均より上回りました。
内容も決して悪くない結果だったように思います。またセリ市は全体を通して一般公開して行われ、
川田将雅騎手のトークショー&サイン会などもあり、平日にも関わらず多くの見学者が来場して盛り上がりました。
直前に桜花賞ハープスターで制したということもあって、地元出身のスターに暖かい拍手が送られていました。
トークショーの内容はノーカットで「馬市」さんのページで閲覧できます。上のリンクから行けます。)
http://www.saga-s.co.jp/news/saga_sports.0.2664041.article.html

騎乗供覧(公開調教)


北海道のセールではダクからすぐ時計の計測に入るそうですが、九州トレーニングセールではまず常歩から見せて、
ダクのみならずキャンターをしながらコースを1周。これは購買者からの希望もあって行われています。
お客側からすればやはり全ての動きを見たいでしょうからね。計測は1ハロンのみのタイムとなっています。
北海道などでは2ハロンを計測するところもあるようですが、いずれにしても一長一短はあるでしょう。

今回は全頭に現役騎手が騎乗しています。やはり牧場の乗り役よりもしっかり追われていると評価されていました。
本気で追われている馬と、ある程度抑えて追われている馬もいて、タイムだけでは測れないものはあると思います。
その辺は実際に現地で見てみないと分からないものはあるでしょう。
今回は私が撮影した動画がありますので、臨場感だけでも味わって頂けたらいいなと思います。
九州トレーニングセール2014 騎乗供覧動画を公開しました - 座布団が行司にクリーンヒット

比較展示


馬を引くのは一日を通して佐賀の厩務員さんが担当されていました。さすがいつも引き慣れている人たちですから、
若駒らしく煩い面を見せても上手くいなしていました。佐賀での初開催ということで開催側にも若干スムーズに
行かない部分もあったようですが、数を重ねて慣れていくしかない。全体的には特に問題なかったと思います。

セリ市


2014九州トレーニングセール上場の九州産馬18頭紹介 - 座布団が行司にクリーンヒット
2014年度トレーニングセール上場馬一覧(4開催分)
比較展示後はついにセリの開始です。パドックに特設のステージが用意され、セリの声が響き渡りました。
前半は主取が続いて一瞬嫌な空気も流れましたが(笑)、中盤以降は値段がつき、中には多くの購買者が競りかけて
値段が上がっていく馬などもいて、会場もヒートアップしていきました。鑑定人の声や進行などもセリ市ならでは。
初めて競走馬のセールを経験したという人は口々に「面白かった」と言っていました。

感想

佐賀競馬場でのセール開催は一言でいえば大成功でした。購買者数が増えたのはまず交通の便が良くなったから。
今年の九州1歳市場は現在のところ鹿児島県のJBBA九州種馬場で開催予定ですが、
来年度以降は2歳トレーニングセールのみならず1歳市場も佐賀競馬場で開催してはどうかという声も出ています。
さらに佐賀競馬関係者も購買登録していました。ただ一昨年はあった佐賀県馬主会からの補助が今年は見送られ、
興味はあっても200万〜300万円台の馬になると手が出せないといった感じでした。
あの辺りの価格帯の馬は基本的にJRAで走らせることになるでしょう。
中央下がりの馬ならば20万円程度から購入できる現状、リスクの高い新馬が忌避されるのは仕方のないこと。
ただ、佐賀競馬は慢性的な馬資源不足に悩まされていますし、魅力的な2歳・3歳馬のレースづくりの為にも、
せっかく競馬場でセールが開催されるわけですから、佐賀競馬としてもこれを利用しない手はないと思います。


例えばかつて荒尾競馬では補助馬制度を取り入れていました。補助金を出して購買を補助する代わりに、
ある一定の期間までは荒尾競馬からの移籍を制限するなどの決まりがありました。
九州産馬のみならず北海道のセールでも「熊本県馬主会」の名で購買されていました。
1頭あたりにつき40万円程度出されていたそうですから、馬主としてはかなり買いやすくなっていたはずです。
補助馬ほどではしないにしろ、例えばセール取引馬が佐賀のレースを勝った際に市場取引賞を出したり、
セールまでの輸送費を補助するだけでも違うと思います。今年の九州トレーニングセールの上場馬は九州産馬か、
それ以外では九州の育成牧場で育成されていた馬が上場されていましたが、佐賀競馬への入厩促進を考え
佐賀入厩を前提とした補助を出すことで、北海道からも上場馬を集めることは可能ではないかと思います。


九州の生産者としては今年のセールの盛況を今後につなげて行かなければなりません。
ここ数年九州におけるサラブレッドの生産頭数は漸減していますが、これ以上は危険水域です。
近年はJRAで活躍する九州産馬が増えていますが、ある程度母数がなければ活躍馬も出にくくなります。
今は何かと苦しい時期かもしれませんが、後継者育成も含めて取り組まなければならない課題でしょう。


生産された競走馬の中には当然優劣が出てきます。良くない馬に値段がつかないのは生産者としても当然の話ですが、
良い馬には相応の価格がついてもらわなければ牧場も経営が成り立ちません。「九州だから」と下に見られて
買い叩かれることも少なくありませんが、九州の育成技術も含め決して北海道に負けないポイントがあると思います。
北海道の生産頭数に比べれば九州産馬の割合はごくわずかですが、その中からJRAで勝ち負け可能な馬が出てくるのは
実はすごいことではないかと思うのです。さらに九州産馬限定戦というアドバンテージもあります。
馬主関係者の皆様は、これら九州産馬のセールスポイントを順当に評価してほしいものです。